用語解説

システム開発からゲームまで C言語、C++、C#の特徴と違い、活用事例

「C」が名前に入る、C言語、C++、C#。実は全て異なる特徴を持った言語なのです。ただ、それぞれ共通点やつながりもあるので、ややこしいと感じる方も少なくないでしょう。今回は、これらの言語の特徴や共通点、違いのポイントを絞ってご紹介します。プログラミングに触れたことがない方でも違いが分かるように解説しているので、言語選択などの際にも活用できる内容となっています。

各言語の概要と特徴

C言語

C言語は1972年にリリースされた歴史あるプログラミング言語です。リリースから50年以上、数多くの開発に用いられ、さまざまなプログラミング言語に影響を与えてきました。例えば、PythonやPHP、RubyはC言語をもとに作られています。

 

特徴1:処理速度が速い

C言語はコンピュータが使う言葉に近い言語(機械語)でプログラミングを行うため、処理速度が速いという特徴があります。

分かりやすく例えると、自分と異なる言語を話す人に話しかける時、自分の言語で話した言葉を翻訳してから伝える人と、相手と同じ言語で話す人とでは、後者の方がコミュニケーションのスピードが速いですよね。それと同じで、人間の言葉でプログラミングをするより、機械に近い言葉の方が処理が速いのです。

そうした処理速度の速さから、大規模なシステムや、OS(システムを動作させる基盤となる重要なソフトウェア)、データ解析や統計などの高速処理が必要なシステムで重宝されています。ただし、機械語に近い分、コンピュータの内部をいじるのも簡単なので、それがリスクになってしまうこともあります。

特徴2:汎用性が高い

作れないものはほとんどない、と言えるほどの汎用性の高さを持っており、さまざまな分野の開発に用いることができます。というのも、先述の通り機械語に近い言語であるのと同時に、人間が理解しやすい構文(高水準言語)でもあるからです。機械にとっても人間にとっても親しみやすい言語であることが、その汎用性の高さに繋がっています。

C++

C++はC言語を拡張させて作られたプログラミング言語で、「シープラスプラス」「シープラプラ」「シープラ」などと呼ばれています。

C言語に「オブジェクト指向」を追加して拡張されており、C言語ならではの処理速度の速さや汎用性の高さを持ちながら、コードの記述が少なくデータ量も小さいという、C言語の上位互換のようなプログラミング言語です。

特徴1:オブジェクト指向

オブジェクト指向とは、役割ごとにパーツを作り、それらをつないで処理を指定することでシステムを作り上げていく考え方のことです。JavaやPHP、Rubyなど多くのプログラミング言語で取り入れられており、現在のプログラミングの主流となっています。パーツを使いまわすことができたり、修正や変更がある際にはプログラム全体ではなく一つのパーツを変更するだけで済んだりするといったメリットがあります。

特徴2:C言語と互換性がある

C++はC言語とも互換性があるので、同時に使用したり、C言語で開発されたプログラムをC++に移行したりすることが可能です。C言語にある機能の多くはC++で使うことができ、組み合わせて柔軟な使い方ができます。逆に言えば、C++を使うためにはC言語の知識が必要となります。

C#

C#はC++とJavaの良い部分を組み合わせて作られた言語です。C言語やC++にさまざまな改良や制限が加えられているので互換性がなく、C言語やC++とは異なる独立したプログラミング言語と言えます。文法はJavaと似ていて、Javaのプログラミングができる人は使いやすい言語です。

特徴1:マイクロソフト製品やWindowsとの相性が良い

C#はマイクロソフト社が開発した言語なので、Windows向けのアプリケーションや、マイクロソフト製品と連携するシステムの開発に適しています。また、アプリ開発において重要なツールである、マイクロソフト社の統合開発環境「Visual Studio」も利用することができます。

特徴2:Unityと相性が良い

Unityは、ゲーム開発において高い世界シェアを誇るゲームエンジンです。2D、3Dのゲームどちらも作ることができ、「ポケモンGO」や「Fall Guys」もUnityで作られています。C#はUnityがサポートする唯一のプログラミング言語なので、スマホゲームアプリなどのゲーム開発では特によく用いられている言語です。

各言語との違い

C言語とC++

最も大きな違いは、C言語は「手続き型言語」、C++は「オブジェクト指向言語」であることです。

手続き型言語は、コンピュータにしてほしい処理の命令や手続きを順に記述していくことでプログラムを構成します。つまり、手続き型言語は手続きや処理の流れが中心なのです。それに対してオブジェクト指向言語は、先述の通りパーツというデータの構造が中心となっています。

また、C言語にはない「クラス」「ジェネリックプログラミング」「例外処理」「キャスト」といった概念も取り入れられています。そのため、C言語では作るのが難しいような開発がC++では可能になることもあるのです。

C言語とC#

C言語とC#には互換性がなく、性質も全く異なります。例えば、C言語はCPUやメモリなどのハードウェアを直接操作できますが、C#はフレームワークやOSを経由しなければ操作できません。

また、C#はオブジェクト指向の言語なので、プログラムを記述する際のルールも異なります。同じ「C」がついた言語であり、C言語からC++、C#へとつながってきた親戚のような言語ではありますが、種類は全く違う言語だと捉えておくのが良いでしょう。

C++とC#

C++の要素を備えたC#は、もちろん一部似ているところはありますが、全く別のプログラミング言語で、互換性もありません。

例えば、メモリの値を直接操作できる「ポインタ」の機能はC#にはなく、反対にプログラムで使っていないメモリを解放する「ガベージコレクション」の機能はC++にはありません。PCやシステムにおいて重要な存在であるメモリの操作や扱いが異なる点は大きな違いです。また、文法やデータの型も異なっています。C++から派生したC#ですが、これも全く違う言語であると言えるでしょう。

 

活用事例

C言語の活用

CPUやメモリなどのハードウェアを直接コントロールできるC言語は、ロボットや電子機器などの組み込み系と、ソフトウェアやOS作成の分野で活用されています。

例えば家電製品や産業機器などの機械の中に組み込まれるソフトウェアや、ハードウェアをコントロールするOSの開発で数多く採用され、WindowsやMacOS、Linuxのコア部分はC言語で開発されています。

C++の活用

C++は組み込み系ソフトや、Webアプリ、ゲーム、業務システムなどで活用されています。実行速度が早くコンパクトなので、限られたリソースで大量のデータを処理するものの開発に特に適しているのです。そのため、重くなりがちなゲームもC++を使うことで高速かつ軽量なゲーム開発をすることができます。

例えば、Google社の「Chrome」や、スマートフォン向けゲーム開発に用いられている「Cocos2d-x」、ゲーム開発に使われる「Unreal-Engine」などがC++で開発されています。また、OSの制御が可能で処理速度が速いことに加え、C言語から蓄積されてきた技術や情報量の多さから信頼性も高く、金融システムや官公庁のシステム、公共機関のシステムでも用いられているのです。

C#の活用

C#はWebアプリケーションスマホアプリ、Unityを使ったゲームに活用されています。

Webアプリケーションを作る際に非常に便利なフレームワークが用意されており、「ASP.NET Web Form」や「ASP.NET MVC」を利用すると、ドラッグ&ドロップで画面が作れたり、自由度が高いうえに効率良くモダンなアプリケーションを作ることができます。そのため、数多くのWebアプリケーションで採用されてきました。

例えば検索エンジンの「Bing」、「価格.com」、「ニッセン」といった身近なサイトがC#で開発されています。

また、先述のようにUnityによるゲーム開発にも活用されており、「Visual Studio Tools for Unity」というツールと連携することで効率よく開発することができます。例えば、「スーパーマリオ ラン」、「ドラゴンクエストVIII 空と海と大地と呪われし姫君」「Pokemon GO」などはC#とUnityで開発されています。

 

さいごに

各言語の大枠をつかむことができたでしょうか。それぞれ似た部分がありながらも、異なる言語なのです。実は、C言語やC++は修得が難しいと言われています。一方で、C言語を習得できればC++の習得も難しくなく、C#も一部共通点があります。違いを理解しながらも、それぞれの言語のつながりや共通点、特徴を知っていれば、言語習得や活用の方法が変わるかもしれませんね。