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AI駆動開発(AI-Driven Development) を支援するツール7選

生成AIの急速な発達と技術のアップデートにより、開発の現場でも生成AIが活躍する場面が増えてきました。生成AIには、コード生成をはじめとした、膨大な情報処理を必要とする業務が得意であり、少子高齢化に伴う労働力不足を補うものとして期待されています。

今回は、コーディングやプログラミング、デザインといった部分をサポートしてくれるAI駆動開発支援ツールを7つご紹介します。

AI駆動開発とは

AI駆動開発(AI-Driven Development)とは、システム開発やドキュメント作成に必要な要件定義から設計、公開などの工程にAIツールを活用し、作業の効率化や高速化を図る開発手法です。具体的には、コード生成、編集の他、コーディングやプログラミング、デザイン、WebアプリやWebサイトの構築、運用・保守などでAIツールを使うことを指しています。AIツールには、コード編集や生成に特化したものからアプリなどの作成・公開までできるツール、誰でも扱えるものから専門知識が必要なものまでさまざまです。

AI駆動開発に関しては以下記事で詳しく解説しています。

GitHub Spark発表で加速!AI駆動開発が切り拓くソフトウェア開発の未来https://techtrends.jp/trends/ai-driven-software-development/

AI駆動開発ツール7選

ここからは、AI駆動開発を支援するツールから、特に注目すべき7つのツールをご紹介します。これらのツールの多くは、動画で使い方を説明していたり、不明な点を聞けるオンラインコミュニティ(DiscordやSlack、SNS、Webサイト内のページ)があったりします。ツールを使ってみたいときは、コミュニティへの参加も検討してみてください。

bolt.new

bolt.newは、ノーコードでWebアプリをフルスタックで作成できるAI開発ツールです。人間同士の会話のようなプロンプトにも対応しているので、初心者でも扱いやすいことが特徴です。ReactやVueなどのフレームワークを利用可能で、「Deploy」ボタンを押せば、Netlifyを介して公開できます。

提供企業・団体 StackBlitz, Inc.
利用料金(月額) 無料で利用できるが、上位プランが複数存在。Pro(個人利用)とTeams(チームでの利用)があり、トークン数と利用人数によって、利用できるプランが異なる(Proは20ドル~200ドル、Teamsは30ドル~210ドル)。Enterpriseに関しては要相談
日本語対応 可能
メリット
  • ブラウザ上で作業が完結するので、誰でも扱える。
  • bolt.new上で作成したアプリはStackBlitz(コードエディター)で公開。
  • バグやエラーの自動検出と自動修正ができる。
  • コード生成だけでなく、ファイルシステムやブラウザコンソールなどをAIが直接操作できるので、アプリケーションの作成から公開までをワンストップで処理可能。 
デメリット デプロイする際にはNetlifyの利用登録も必要。bolt.newで作成した成果物をNetlifyのFree&Starterプランで公開するときは制限がある。 
URL https://bolt.new/

 

 

create.xyz

Create.xyzは、簡単な指示文を入力するだけでWebサイトやWebアプリを生成できるAIツールです。Claude 3.5 Sonnet、GPT-4o、Stable Diffusionなど、最新のAIモデルを使用できるほか、50以上の統合機能を瞬時に追加できます。また、Create.xyzで作成したWebアプリやWebサイトはCreateのコミュニティページで公開可能です。他のユーザーが作成したものを閲覧したり、自分の作品に活用したりすることもできます。

 

提供企業・団体 Create,Inc.
利用料金(月額) 無料プランの他、Popular(19ドル)、Business(99ドル)、Enterpriseの有料プランが存在。Enterpriseに関しては要相談。
日本語対応 可能
メリット
  • 作成したプロジェクトは「created.app」ドメインで無料ホスティング可能(大規模なトラフィックにも対応)
  • AI機能、PDF生成、マップなど50以上の統合機能を提供
  • React/Next.jsを使用したJavaScriptベースのウェブアプリを生成(フロントエンド)
  • バックエンドはサーバーレス関数で動作
  • UI要素(ページ・コンポーネント)の作成、関数による機能追加、データベース作成、ユーザーアカウント管理が可能
デメリット ブラウザベースのアプリケーション生成を前提としているため、完全なオフラインアプリの開発はできない。また、React/Next.jsを使用してコードを生成するため、サポートされていない特定のプログラミング言語を使用できない。
URL https://www.create.xyz/

 

Cursor

Cursorは、アメリカのAnysphereが提供する、AI搭載のコードエディターです。作成したコードにバグなどがないか、AIにチャットで尋ねることができます。Microsoft社が開発したコードエディター「VScode(Visual Studio Code)」をベースに作られており、操作方法もとても良く似ています。ブラウザで使うタイプではないので、ソフトをインストールする必要があります(Linux、Windows、Macで動作)。

 

提供企業・団体 Anysphere,Inc
利用料金(月額) Hobby(無料)、Pro(20ドル)、Business(40ドル)が存在。カスタム契約に関しては、別途問い合わせが必要。
日本語対応 可能(日本語の言語パックを別途インストールする必要あり)
メリット
  • 次の編集内容を予測するオートコンプリート機能があり、直近で行った変更内容を考慮して、コードの編集内容を提案。
  • 人間の目では見つけづらい間違いを発見してくれる。
  • VSCodeの豊富な拡張機能を利用できる。
  • チャットのコードブロックの上にある再生ボタンをクリックすることで、チャットからのコード提案をコードベースに適用。
デメリット AIがいつも正しいとは限らないので、AIからの提案を鵜呑みにできない。また、パソコンに過度の負荷がかかり、動作が重くなることがある。 
URL https://www.cursor.com/

 

 

Lovable

Lovableは、自然言語を使ってWebアプリケーションを構築できるAI搭載プラットフォームです。デザインやプログラミングの専門的な知識は必要なく、チャットでAIとやり取りしながら、WebサイトやWebアプリを構築できます。他に、プロトタイピング独自のバックエンドの接続、Supabaseコネクターを利用可能で、データベース、API連携、バックエンド機能をサポートしており、プロジェクト管理も簡単です。

 

提供企業・団体 Lovable
利用料金(月額) STARTER(20ドル)、LAUNCH(50ドル)、SCALE 1(100ドル)が存在。TEAMSプランに関しては、別途問い合わせが必要。
日本語対応 可能
メリット
  • 初心者でも、サイトやアプリの作成から公開までを専門知識なくできる
  • スクリーンショットを使って、イメージを指示できる
  • ワンクリックでのデプロイ可能
  • 搭載されたAIがコードのバグを見つけ出し、自動的に修正
  • 複数人での共同編集作業が可能 
デメリット STARTERプランでは決済機能やeコマース機能を有するECサイトの構築はできない。また、機密性の高いサイトやアプリの構築には不向き。サポートしている言語がReactに限定されており、他のエディターで編集・追加することはできない。 
URL https://lovable.dev/

 

Replit

Replitは、ブラウザベースの統合開発環境(IDE)およびコラボレーションプラットフォームです。パソコン上に開発環境を整備せずとも、ブラウザ上で開発から実行、デバッグまでを完了できます。50以上の開発言語に対応しているだけでなく、GitHubリポジトリからプロジェクトを作成可能です。また、スマートフォンアプリもあるので、外出先からでもコーディングできます。ChatGPTとも連携しているので、AIが複数のファイルに書かれたコードを直接編集します。

 

提供企業・団体 Replit,Inc.
利用料金(月額) Starter(無料)、Replit Core(15ドル)、Teamsが存在。Teamsプランは年間契約のみ、Enterpriseは近日公開予定で詳細は問い合わせが必要。
日本語対応 可能
メリット
  • 開発環境がブラウザベースのため、どのデバイスからでもアクセス可能
  • イメージするホームページのスクリーンショットをアップロードすると、それに近いデザインのホームページを構築してくれる
  • チャットしながら、リアルタイムかつ複数人でのコーディング
  • 拡張機能の利用によりワークスペースのカスタマイズ
  • ドメインのカスタマイズとSSLの付与 
デメリット 複雑な構造のアプリを作るときに動かなくなることがある。また、自動で生成されたものにバグやエラーが見つかり、修正したくても、イチから作るより困難になってしまう。アジャイル開発のように、短期間でリリースし、フィードバックを受け、改善するといったことには向かない(費用がかさむ) 
URL https://replit.com/

 

 

v0

v0(v0 by Vercel)は、Webサイトを自動で生成できる、AIコーディングアシスタントです。指示内容に沿ったReactコードを生成するツールで、特にWeb開発を支援するよう設計されています。Webサイトやランディングページの構築・生成、アプリのデザインなどが得意です。

 

提供企業・団体 Vercel
利用料金(月額) 無料プランの他、Premium(20ドル)、Team(30ドル)、Enterpriseの有料プランが存在。Enterpriseに関しては要相談。
日本語対応 可能(プレビュー版。日本語で入力しても問題ないが、英語のプロンプトより精度は下がる)
メリット
  • スクリーンショットやテキストの説明から、ReactコンポーネントやフルスタックのNext.jsアプリケーションを生成(React/Next.jsと高い互換性がある)
  • Mermaid言語を使用して、複雑な概念やプロセスを視覚化できる
  • プログラミングスキルがなくても、デザインやインターフェイスを作成できる
デメリット VercelとNext.js環境向けに最適化されているので、複数のフレームワーク間での互換性は限定的である。また、単一ファイルのコンポーネントに限定されるので、複数のファイルを組み入れるような複雑なプロジェクトの作成はできない。
URL https://v0.dev/

 

VScode(Visual Studio Code)

VScode(Visual Studio Code)は、Microsoft社が2015年にリリースしたコードエディターで、コード生成、ビルド、デバッグサイクルに必要なツールだけを提供しています。あらゆるプログラミング言語やフレームワークを使ってWebアプリなどを作成します。AIプログラマーツール「GitHub Copilot」が組み込まれており、コードの生成、エラーの修正、コードに関する質問などが可能です。

提供企業・団体 Microsoft Corporation
利用料金(月額) 無料
日本語対応 可能(日本語の言語パックを別途インストールする必要あり)
メリット
  • ソフトをインストールするか、ブラウザで使用するかを選べる(ソフトはWindows、macOS、Linuxで動作。ソフトのほうが機能が豊富)
  • 拡張機能も使用言語も多い
  • 拡張機能や新機能の追加が速い
  • オープンソースで、世界中の開発者が作成したVSCodeのプログラムを無料で公開している
デメリット 拡張機能の多くは無料だが、拡張機能が依存する外部サービスやAPIによっては費用が発生する。Github Copilotは最初の1ヶ月のみ無料で使えるが基本的に有料。自由度が高いので、使いこなすまでに時間がかかるし、公式サポートがない(コミュニティは存在)。
URL https://code.visualstudio.com/

 

まとめ

アプリやサイトを構築するためには、プログラミング言語をはじめとした専門知識が必要です。AI駆動開発ツールを活用することで、開発の各工程を効率化できる他、開発にかかるリソースもコストも抑えられます。

まずは、本記事でご紹介したAIツールでも、気になっているAIツールでもいいので、実際に触れてみることをオススメします。