業界動向

【2024年最新】ChatGPTを導入・活用した日本の企業・組織事例まとめ 

Chat GPT(チャット GPT)は、最新のAI技術を活用した画期的なツールです。

この記事では、日本国内でChatGPTを導入し、業務に活用している企業・官公庁・組織の事例を紹介します。具体的な導入目的や、活用シーンを交えてお伝えします。これからChatGPTを導入を検討している企業や組織の方々はぜひ、参考にしてみてください。

官公庁でのChatGPTに関する活用事例やトピック

農林水産省

農林水産省は、2023年4月から一部の業務でChatGPTの活用をはじめました。補助金申請マニュアルなどの改訂や修正に活用し、作業の負担軽減などにつなげたいとしています。

参考:
数千ページのマニュアル改訂「ChatGPT」活用へ 農林水産省
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20230418/k10014042001000.html

文部科学省

文部科学省は「ChatGPTを教育現場でどう取り扱うべきか?」に関するガイドラインの早期作成に向け、2023年5月中旬の審議会において方針を議論するとしています。すでに学識経験者や現場教員に対し、書面でのヒアリングを開始。今後、ガイドライン作成を進め、できる限り速やかに公表を目指すそうです。

今後、全国各地の教育機関において、いかにChatGPTを取り扱っていくべきかの指針となる重要な動きだといえるでしょう。

参考:永岡桂子文部科学大臣記者会見録
https://www.mext.go.jp/b_menu/daijin/detail/mext_00367.html

デジタル庁

デジタル庁は2023年5月8日、中央省庁におけるChatGPTの業務利用について、「要機密情報を扱う場合は原則了承をしない」と取り決めました。必要なセキュリティ要件を満たすことができないことから、政府の「要機密情報」については、原則、取り扱うことはできないとされました。なお「要機密情報」を扱わない場合でも、リスクを考慮したうえで利用できるかどうかを検討し、利用状況を管理していく、としています。

この話題はデジタル庁そのものがChatGPTを業務の現場に導入したという話ではありませんが、今後、各省庁にとって指針となる重要な動きだと言えるでしょう。

参考:
第8回デジタル社会推進会議幹事会・書面開催
https://www.digital.go.jp/councils/social-promotion-executive/councils/191f444c-37fe-4c38-9909-09d9ccdb23af/

東京都

東京都は2023年4月、「ChatGPTの導入を検討していく」ことを発表しました。都の業務での導入に向けて、その使い方などを検討していくそうです。都デジタルサービス局内にプロジェクトチームを立ち上げ、利用上のルールなどを検討していく、としています。

参考:東京都もChatGPT導入検討へ PT設けルール作り
https://www.asahi.com/articles/ASR4Q6KR6R4POXIE01D.html

神奈川県横須賀市

神奈川県横須賀市は2023年4月、ChatGPTを業務に試験導入することを発表しました。文章作成や要約、誤字脱字の確認、アイデア創出などに活用することを目指しています。
参考:
自治体初!横須賀市役所でChatGPTの全庁的な活用実証を開始(2023年4月18日)
https://www.city.yokosuka.kanagawa.jp/0835/nagekomi/20230418_chatgpt.html

長野県飯島町

長野県飯島町は2023年4月、同県内で初めてChatGPTを業務に導入しました。これまでは施策を考える際に誰かと相談やリサーチを行っていたそうですが、その役割を“デジタル相談役”としてChatGPTが担うことで、業務効率化につなげたい、としています。
参考:【ChatGPT】「業務の効率化を」飯島町が県内初導入
https://www.fnn.jp/articles/-/521544

三重県松阪市

三重県松阪市も「導入を検討している」自治体の一つです。文章の要約・作成など、行政での利活用に向けてリスクや費用、効果などの検証をはじめているそうです。導入効果や個人情報の取り扱いなどのリスク、費用面などを十分検証する必要があるとし「前向きに検討して一定の成果を出したい」としています。

参考:三重・松阪市がチャットGPTの利用検討 文章の作成や要約
https://yomotto.jp/2023/05/01/987669/

静岡県島田市

静岡県島田市も「導入を検討している」自治体です。島田市では、業務効率化を図れるかどうかや、運用上の問題点を探るため、2023年4月上旬から検証をスタート。現在のところ利用者をデジタル担当部署の3名に限定しているそうです。過去の市長のあいさつや、職員の業務報告書の要約・修正などを通じて、2023年秋ごろまで使い勝手を検証していくとのことです。

参考:島田市、業務にチャットGPT利用 県内で初、今月から試験導入
https://www.chunichi.co.jp/article/680500

埼玉県戸田市

埼玉県戸田市は、ChatGPTの自治体業務利用に向けて「ガイドライン作成」の段階にあります。庁内にChatGPTの調査研究チームを設置し、ChatGPTを使った作業の自動化・効率化の検討を進めています。そのうえで、自治体業務で職員が安全に利用するための「自治体業務におけるChatGPTの活用ガイド」を取りまとめて公表する見通しです。2023年9~10月をめどに、自治体業務向けのChatGPT活用ガイドを公開する予定、としています。

参考:ChatGPTに関する調査研究事業の実施について
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000272.000076954.html

宮崎県都城市

宮崎県都城市ではChatGPTについて「都城市DXチャレンジプロジェクト」を通じ、民間のシステム開発会社「シフトプラス株式会社」とともに、ChatGPTを自治体環境で活用できるプラットフォームを共同開発することになったと発表しました。自治体が共同開発を担うケースは、全国初です。

参考:都城市でChatGPTに係る行政利用調査研究事業を開始https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000099.000085339.html 

地域経済団体に関する事例

横須賀商工会議所

横須賀商工会議所はChatGPTを活用し、会員事業所の飲食・小売店などがキャッチコピーや店舗紹介文などを作成できるサービス「ジェネレーティブAI for ヨコスカイチバン」の提供を開始しました。事業者がカテゴリ、ターゲット層、店舗の特徴(駅から近い、落ち着いた店内などのセールスポイントなど)を入力すると、「当店のおすすめ」「店舗紹介文(キーコンテンツ)」「お店のキャッチコピー」の3種類の文章をChatGPTが作成するというものです。
参考:地域ポータルでChatGPTを活用した新サービスの提供開始
https://www.jcci.or.jp/news/local-front/2023/0502150628.html

教育

立命館大学

立命館大学は2023年4月から、ChatGPTと機械翻訳を組み合わせた英語学習ツール「Transable」を、同大学の「生命科学部」「薬学部」における英語授業の一部において、試験導入を開始しました。新しい時代の大学英語教育のありかたを探究するとし、トライアル期間は9月30日までだそうです。AI技術の活用による教育効果の向上を図るとともに、学習成果や学生の心理面などにどのような変化が生じるかを検証、英語によるアウトプット精度の向上、社会で使える英語スキルを、学生自身が能動的に体得することを目指しているそうです。

参考:大学の英語授業に機械翻訳とChatGPTを組み合わせたサービスを試験導入〜立命館
https://www.kknews.co.jp/news/20230423o02

ベネッセホールディングス

株式会社ベネッセホールディングスは、社内AIチャット「Benesse GPT」をグループ社員1.5万人に向けて提供をはじめています。セキュリティ面を考慮し、Microsoft Azure上の独自システムにて運用しています。同グループの社員が「業務生産性向上」と「新商品サービスの検討」を積極化できる環境を構築した、と発表しています。
参考:社内AIチャット「Benesse GPT」をグループ社員1.5万人に向けに提供開始
https://blog.benesse.ne.jp/bh/ja/news/management/2023/04/14_5969.html

金融

大和証券

大和証券は2023年4月にChatGPTを導入しました。全社員約9000人が、情報収集や資料作成などさまざまな業務で活用することにより作業を効率化させ、接客・企画立案などほかの業務に充てる時間を増やす狙いです。情報が社外に流出しないシステムを構築し、回答内容の正確性を社員が最終的に確認することで、個人情報の流出や正確性への懸念を解消するとしています。
参考:大和証G、傘下証でチャットGPT利用へ-今月から全社員9000人対象
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2023-04-18/RTAWQDT0AFB401

三井住友銀行フィナンシャルグループ

三井住友銀行も、2023年4月にChatGPTを試験導入しました。社内で使う資料や、ソフトウェアの設計図・ソースコードの作成に使えないかどうかを探る、としています。
参考:対話型AI、メガバンクも活用へ でも一般向けChatGPTは厳禁
https://www.asahi.com/articles/ASR516J37R4GULFA007.html

メーカー

パナソニック ホールディングス

総合電気機器メーカー「パナソニック ホールディングス」は2023年4月、ChatGPTの技術を活用した「PX-GPT」を開発、国内約9万人の全社員を対象に展開しています。グループ全社に導入することで、部門を問わず社員の生産性向上と業務プロセスの改善、ビジネスアイデア創出を目指していく、としています。

参考:AIアシスタントサービス「PX-GPT」をパナソニックグループ全社員へ拡大 国内約9万人が本格利用開始
https://news.panasonic.com/jp/press/jn230414-1

パナソニック コネクト

BtoB向けのハードウェア、ソフトウェア、ソリューション開発を手掛ける、パナソニックグループの企業「パナソニック コネクト株式会社」。

2023年2月にChatGPTを導入しました。入力した情報がAIの学習に使われないよう、Microsoftのクラウドサービスを利用して環境を構築しています。

用途ごとにプロンプト(入力文)のテンプレートを用意し「どう質問したらよいかわからない」という社員にとっても、利用ハードルが下がるように工夫をしています。このような社内におけるさまざまな工夫により、利用開始から1か月間の質問数は5万5000に達したそうです。

参考:Microsoft Azure OpenAI Serviceを活用したAIアシスタントサービスを国内全社員向けに導入
https://news.panasonic.com/jp/press/jn230414-1

IT業界

アナグラム

Web広告運用のコンサルティングを手掛ける会社「アナグラム株式会社」は、日常業務の中でChatGPTの活用をはじめています。
福利厚生として「ChatGPT Plus(月額20ドルの有料プラン)」の利用希望者を対象に、3か月間試験的に補助金を付与。これにより少しずつ社内での使用者が増え、できあがったプロンプト(入力文)も社員間で互いにシェアし合って、業務効率化を進めているそうです。
同時に、「個人情報を入力しない」といったルールも会社として決めて運用している、とのことです。

参考:ChatGPTは「たまに良いことを言うインターン生」 広告業界での活用事例から考えるAI仕事術
https://finders.me/articles.php?id=3700

サイバーエージェント

インターネット放送事業「ABEMA」やWeb広告事業の展開で知られる「サイバーエージェント」。
ChatGPTによって「デジタル広告の運用にメスを入れる」としています。ChatGPTの活用で、広告オペレーションにかかっている総時間約23万時間(月間)のうち、30%にあたる約7万時間の削減を目指しています。

参考:ChatGPTで広告運用の実行スピードを大幅短縮する「ChatGPTオペレーション変革室」を設立
https://www.cyberagent.co.jp/news/detail/id=28668

GMOペパボ

インターネット関連サービスの「GMOペパボ」では、全社的にChatGPTをはじめとする生成系AIの活用を進めています。技術者だけでなく、経営者や広報担当者もChatGPTを活用して文書作成などを実施しているそうです。

参考:GMOペパボ、AI(ChatGPT)を活用したマーケティング支援機能をEC関連3サービスにて提供開始
https://pepabo.com/news/press/202303221400/

株式会社Hacobu

物流向けアプリケーションおよびハードウェアの開発・販売を行う「Hacobu」。あらゆる部署にChatGPTを活用し、業務プロセスの改善に取り込むことで、全社的な生産性の向上を目指しています。

参考:Hacobu、「ChatGPT」と「GitHub Copilot for Business」を導入
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000156.000018703.html

日本情報通信

NTTグループの企業で、システムインテグレーション・コンサルティング・クラウドサービスを提供する「日本情報通信」。社員の生産性向上や業務改善を目的に、ChatGPTの使用を全社展開することを決定しました。ChatGPTを使いこなすことで、業務の質を高め、より高度な業務へシフトすることを目指しています。

参考:日本情報通信 ChatGPTで業務効率化とハピネス経営を推進
https://www.weeklybcn.com/journal/news/detail/20230425_197818.html

コムニコ

SNS運用代行・コンサルティングを手掛ける「コムニコ」。生産性および画像や動画等制作物の質向上を目的に、ChatGPTを導入しています。導入にあたり、従業員が安全かつ効果的に活用できるよう、サポート・推進するチームを新設。

なお、AI技術のSNSマーケティングへの活用に関しては、将来的にはそのノウハウを顧客向けに提供することも視野に入れているそうです。
参考:コムニコは、業務における「ChatGPT」活用の導入により生産性と創造性の向上を図ります
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000084.000028382.html

キャンプ女子

キャンプコミュニティ「キャンジョ」運営、キャンプビジネスコンサルティング、キャンプ道具レンタル、アウトドアイベント企画などを手掛ける「キャンプ女子」。全社でChatGPTを活用することを発表しました。AI導入により、業務効率化や品質向上を図り、社員のワークライフバランスの改善や、新しいキャンプスタイルを提供することに注力していく、としています。

キャンプ女子が全社にChatGPT導入、新しい時代のキャンプ体験を提供
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000163.000046252.html

アドバンスト・メディア

「アドバンスト・メディア」は、音声認識技術を活用した事業を展開しています。
同社は、AI音声対話アバター「AI Avatar AOI(エーアイ アバター アオイ)」のシステムに「ChatGPT」を連携し、茨城県公認VTuber「茨ひより」に搭載しました。
ChatGPTを搭載した「茨ひより」は2023年4月に行われた「ニコニコ超会議2023」の茨城県出展ブースに登場。
会話の中で茨城県に関する情報を織り交ぜながら話す事で、同県の魅力を発信する広報活動を行っていくとしています。

参考:日本初!自治体公認VTuberをAI化ChatGPTと連携したアドバンスト・メディアのAI音声対話アバターシステムが茨城県公認VTuberに搭載され、「ニコニコ超会議2023」に登場
https://www.advanced-media.co.jp/newsrelease/26502

インプレス

「PC Watch」などのWebメディア事業運営で知られる「インプレス」。2023年5月から「PC Watch」内の一部記事に、ChatGPTを用いた要約機能を試験的に導入しています。同サイトの一部記事を読者が開くと「AIで記事を要約する(β)」というボタンが表示されます。これをクリックすると、すぐに10行程度の記事の要約文が表示される仕組みとなっています。

参考:インプレス社、ウェブメディア「PC Watch」にChatGPT活用 長文記事を自動要約…メディアで導入の動き進む
https://www.j-cast.com/2023/05/02460903.html?p=all

社員の自発的なChatGPT活用に対し、補助を付与している企業

「会社・組織として一斉導入」という形ではなく、社員一人ひとりの自発的なChatGPT活用を「AIスキル向上」といった目的で、福利厚生の一環として支援している会社も数多く見られます。以下の表は、その一例をまとめたものです。

企業名 事業概要 補助内容
Zaim 家計簿アプリの開発・運営 「ChatGPT Plus」の利用料を全額会社負担
株式会社G-gen クラウド事業 「ChatGPT Plus」の利用料を全額会社負担
心幸ホールディングス株式会社 福利厚生アウトソーシング事業 「ChatGPT Plus」の利用料を全額会社負担
GridWorld合同会社 システム開発 「ChatGPT Plus」の利用料を全額会社負担
コロプラ ゲーム開発・運営 「ChatGPT Plus」の利用料補助制度

「ChatGPT活用表彰制度」

ビープラウド システム開発 全社員向けに毎月最大1万円を補助する制度の対象に「ChatGPT Plus」を追加
ソラコム IoT通信プラットフォーム 「ChatGPT Plus」の利用料補助制度
MIXI SNS・Webメディア・ゲーム開発運営 「ChatGPT Plus」の利用料補助制度
Nobollel アプリ開発 「ChatGPT Plus」の利用料補助制度
UUUM コンテンツ・メディア事業 「ChatGPT Plus」の利用料補助制度

[参考]
・「ChatGPT」のノウハウ獲得を急げ、コロプラやUUUMが相次ぎ補助制度を導入
https://xtech.nikkei.com/atcl/nxt/column/18/02423/041800004/

・株式会社G-gen、従業員のChatGPT Plus利用料を福利厚生として全額補助
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000053.000094022.html

・心幸グループ、全正社員向け福利厚生として「ChatGPT Plus」利用料全額補助を導入
https://www.rbbtoday.com/release/prtimes2-today/20230501/857609.html

・GridWorld合同会社、従業員のAIスキル向上を支援するため、ChatGPT Plusの利用料を全額補助
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000001.000120582.html

まとめ

本記事では、日本国内におけるChatGPTのさまざまな導入事例を紹介しました。

官公庁、地域経済団体、教育、金融、メーカー、情報通信業界など、既に幅広い分野でChatGPTの活用がはじまっていることが分かり、今後の効率化やサービス向上が期待されます。

また、社員の自発的な活用に対して補助を付与する企業も数多く存在し、取り組みの多様性も伺えます。

これらの事例を通じて、ChatGPTはさまざま業務への適用可能性があることを読み取ることができ、今後もさらなる活用の広がりを期待できると言えるでしょう。ChatGPTは、業務改善や働き方改革のための有力なツールだとも言えます。活用のアイデア次第で、組織内のデジタル・AIリテラシー向上ができれば、組織全体として競争力向上も望めるでしょう。

今後、自社での導入を検討される方は、本記事で紹介した事例を参考に、社内のニーズに合った活用方法を見つけてください。