業界動向

2025年 人工知能学会誌 40巻6号 論文まとめ ― 情報共有・デジタル行動分析・教育支援におけるAI実践 ―

2025年40巻6号には、人工知能の実践的応用から教育への活用に関する論文が掲載されています。本号では、情報共有の最適化、デジタルメディアの機械学習応用、生成AIを活用した教育支援など、現代的な課題に取り組む研究が紹介されています。
今回は2025年40巻6号に掲載された3つの論文をご紹介します。

著者: 林 直也, ほか
原稿種別: 原著論文(実践AIシステム)
掲載位置: 2025年40巻6号 p. A-P22_1-13
概要:
現代のウェブサービス開発では、多様な専門家が関わるため情報伝達の齟齬がプロジェクトリスクに繋がります。本研究では、ウォーターフォール開発の要件定義・設計フェーズや、アジャイル開発の初期段階といった、開発プロセス初期の情報伝達状況を可視化する手法を提案しています。具体的には、「再構成型概念マップ」を用いて、メンバー間の認識のずれを可視化・共有することで、プロジェクトリスクを低減することを目的としています。BizDevOpsチームでの実証実験を通じて、本手法が齟齬の検出に有効であり、チーム内の共有理解を深める上で有用であることが示されました。

2. デジタルラジオプラットフォームにおけるユーザー行動の機械学習による分析

著者: 永田 大貴, 佐藤 忠彦
原稿種別: 原著論文(技術 )
掲載位置: 2025年40巻6号 p. B-P42_1-11
概要:
マスメディア業界のデジタルシフトが進む中、本研究ではデジタルラジオプラットフォームにおけるユーザー行動の機械学習を用いた分析に焦点を当てています。ユーザーとコンテンツの共起関係を重視し、「ブロッククラスタリング」という手法で両者を同時にクラスタリングすることで、詳細な視聴行動パターンを抽出します。分析の結果、ユーザーの聴取行動は、属性だけでなく使用デバイスにも影響されること、またコンテンツの放送地域やジャンルが聴取パターンに大きく影響することが明らかになりました。これにより、コールドスタート問題の解決や、より高度なビジネス戦略への応用が期待されます。
https://www.jstage.jst.go.jp/article/tjsai/40/6/40_40-6-B-P42/_article/-char/ja/

3. 生成AIを活用した社会科歴史学習における概念マップ作成支援とプロンプトパターンの分析

著者: 徳竹 圭太郎, 佐久間 大, 室田 真男
原稿種別: 速報論文
掲載位置: 2025年40巻6号 p. C-P72_1-5
概要:
本研究は、社会科の歴史学習において、生徒が生成AIを活用してコンセプトマップを作成する際のプロンプト(指示文 )を分析したものです。生徒の歴史事象に対する構造的理解度を4つのレベルに分け、それぞれのレベルとプロンプトの出現パターンの関係を調査しました。その結果、構造的理解度が高い生徒と低い生徒とでは、使用するプロンプトのカテゴリーに違いが見られることが分かりました。この知見は、生徒の理解度をプロンプトから推定し、個別の学習支援を行う上で重要な示唆を与えるものです。
https://www.jstage.jst.go.jp/article/tjsai/40/6/40_40-6-C-P72/_article/-char/ja/

編集後記

本号では、人工知能技術が組織内の情報共有、ビジネス分析、教育支援など、様々な実践的課題の解決に活用されている事例が示されています 。これらの研究は、AIが単なる技術ツールではなく、人間の活動をより効果的にするためのパートナーとしての役割を果たしていることを示しています。
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