グーグルは2023年に対話型AIとして「Bard」を発表しましたが、同じ年の12月に後継モデルとして「Gemini」を、2024年2月8日には、その最上級AIモデルとして「Gemini Advanced」を発表しました。Gemini AdvancedにはGoogle AIが開発したUltra 1.0を搭載しており、ユーザーの幅広いニーズに応えています。
本記事では、Gemini Advancedについて解説します。
Gemini Advancedとは？
Gemini Advanced（ジェミニアドバンスド）は、Bardの後継モデルであり、Google AIが開発した最先端の生成AIです。Googleの高性能なAIモデルであるUltra 1.0を搭載し、さまざまなタスクを実行します。
- より自然で流暢なチャットでの会話
- より創造的で独創的な文章生成
- より正確な情報検索（参考にした情報源を提示してくれる）
- 質問への回答
- 数十種類以上の言語翻訳
- クリエイティブなコンテンツの生成（画像、詩、歌詞など）
- コード生成
- 音声認識と音声合成
- Google Workspaceとリンクさせることでタスク管理や議事録作成、データ分析、プレゼンテーション作成なども可能
上記に加えて、今後Gemini Advancedでは、以下の機能の提供を予定しています。
- 招待状や履歴書の作成など、原案から仕上げまで、GmailやGoogleドキュメントで文書作成をサポート
- 単語をチャットに書くだけで、プレゼンテーション用のオリジナル画像を簡単に作成
- ノイズの低減、シャープネスの向上、照明の修正により、Google Meet使用中の動画の品質向上
グーグルは、Gemini Advancedの正式リリースに伴い、これまで提供していた対話型AIサービスの名前を「Bard」から「Gemini」という名称に変更しました。現在Gemini Advancedは英語版のみ提供していて、150以上の国と地域で利用できますが、将来的には、日本語、韓国語および英語（英国、スイス、欧州経済領域、および関連する国や地域を除く）でのサポートなど、さらに多くの言語や地域での利用を目指しています。
Gemini Advancedでできること
グーグルが公式ブログなどで公表している情報によると、Gemini Advancedでできることは以下の内容であり、これらを複数掛け合わせることで新たな生成物も生み出せるとなっています。
- Google の最も高性能な AI モデル、Ultra 1.0 を搭載しているので、複雑な指示への対応、推論やコーディング、クリエイティブなコンテンツの生成をより適切に行うこと
- 多数のプログラミング言語のコードを理解したり、説明したり、高品質のコードを生成したりすること（最先端のパフォーマンス）
- テキストや画像、コードなど複数入力されたまたは込み入った情報を迅速に理解し、論理的推論や示唆も含む指示への対応、コーディングといったタスクを効率よく行えること
Gemini Advancedの始め方
Gemini Advancedを利用するには、以下のステップをたどります。
<アカウント作成
Geminiウェブアプリ（https://gemini.google.com/app）およびGemini Advancedを利用するには、ご自身で管理するGoogleのアカウント、またはGeminiウェブアプリへのアクセスが許可されたGoogle Workspaceアカウントが必要です。
料金プラン
Gemini Advancedの料金プランは非常にシンプルです。今回新設されたGoogle One AIプレミアム プランに加入すれば、最初の2ヶ月のみ無料で、それ以降は月額2,900円を支払うことで利用できます。
利用方法
Geminiからは以下の手順で利用できるようになります。
- Google One AI プレミアムプランへアップグレードしたうえで、Chrome、Safari、Firefox、Opera、Edgeから公式サイトにアクセスしてください。
- ページ上部の≡のマークをクリックします。
- ページ下部のクエスチョンマークから「Gemini Advancedについて」をクリックします。
- 「Try for 2 months, at no charge」と書いてあるボタンを押します。
- Google OneのGemini Advancedから、「トライアルを開始」を押します。
- 支払い方法を選択後、「定期購入」→「Gemini Advancedにアップグレード」へと進むと、ページ左上部にGeminiとGemini Advancedのいずれかが選択できるようになっています。Gemini Advancedを使いたいときは、ページ上部でGemini Advancedをクリックします。
Gemini Advancedの基本操作
他の対話型AI同様、Gemini Advancedは、AIにしてほしいことをチャット欄からテキスト（＝プロンプト）または画像を入力するだけなので、誰でも簡単に操作できます。
テキスト生成
文章の要約、生成などをテキストで返してくれます。要約してほしい文章や作成してほしい文章と指示を入力すると、指示に沿った内容の文章を生成します。
翻訳
翻訳は40以上の言語に対応しています。翻訳してほしい文章と「次の文章を〇〇語に翻訳してください」という指示をチャット欄に入力します。
質問応答
チャット欄に質問したいことを入力すると、回答が返ってきます。このとき、回答の根拠となる情報源も提示されていますが、回答の内容含め、間違っていることもあるので注意が必要です。
クリエイティブコンテンツ生成
ポエムやコード、イラストといったクリエイティブコンテンツも生成してくれます。どんなポエムやコードを書いてほしいのか、描いてほしいイラストなど、生成したいコンテンツをテキストまたは画像で指示すると、それに沿ったものが自動で生成されます。
Gemini Advancedの使い方
では、Gemini Advancedの使い方を、実例を交えてご紹介します。
質問回答
「Gemini Advancedってなんですか」とGemini Advancedに聞いてみました。内容はほぼ合っていましたが、提示されたURLが違うことが分かります。英語では最適化されているけれど、日本語での利用にはまだまだ課題がありそうです。
翻訳
今回はGoogleのブログの英語サイトから、Gemini Advancedについて書いてある文章をコピペして翻訳をお願いしました。いくつか示されている回答案から、より自分が求めるものを選びます。翻訳に関しては、いずれも回答にあまり差がないように感じました。
クリエイティブコンテンツ生成～ポエム～
「冬が楽しくなるような詩をつくって」と指示をしました。シンプルな指示にしたのは、そのほうがより自由にAIがポエムを書いてくれると期待したからです。回答案が3つ提示されましたが、筆者の希望により近かったのは1でした。
Gemini Advancedの制限事項
Gemini Advancedを利用する際は、いくつかの課題や注意点があることを念頭に置き、正しく賢く利用しましょう。
現状の課題
Gemini Advancedは常に進化している対話型AIサービスであり、定期的に機能のアップデートが行われています。そのため、現在使えている機能が使えなくなったり、よりバージョンアップしたものに変わったりします。また、Gemini Advancedから不適切または不正確な情報が提示されることがあります。参考情報としてURLや動画のサイトが添付されていますが、念のため回答が正しいかどうかを確認したほうが良いでしょう。
こうした背景から、法律や医学など、常時変更がある分野における、Gemini Advancedが示してきた回答と情報源に関しては参考程度に留めておきましょう。
注意点
- 一部地域や国では利用できない
- 違法な行為に利用すること
- 差別的な発言や表現をすること
- 他人に危害を加えること
- Googleの利用規約に違反すること
- 公開されている情報やオープンライセンスが適用されることもあるので、Gemini Advancedが生成したコードを使用する場合は、自己責任で利用すること
まとめ
Gemini Advancedを使うには、個人で管理するGoogleのアカウントと、Google OneのAI利用プランへの登録が必須です。チャット入力欄にテキスト、画像、音声を入力するだけで、質問への回答はもちろん、文章の要約や画像生成などを自動で行います。現在は英語版のみの対応ですが、今後日本語でのサポートも予定されています。
Googleの最新AI技術をいち早く試したいという方は、Gemini Advancedの使い方や注意事項を確認したうえで、是非Google One AIプレミアムプランに登録してGemini Advancedを使ってみましょう！
＜参考情報＞
- Bard から Gemini へ：Ultra 1.0 とGemini アプリを発表
- Gemini 時代の新たな一歩
- Gemini アプリに関するよくある質問
- The next chapter of our Gemini era
