「最近話題のChat GPTってどんなもの?」「Microsoft Bingとはどんな違いがあるの?」最近のニュースやSNSでの話題を見て、このように疑問を持っている方も多いのではないでしょうか。
2022年末頃から「画像生成AI」「音楽生成AI」といったいわゆる「ジェネレ―ティブAI」が人々の高い関心を集めており、2023年2月上旬には、Google、Microsoftといった巨大IT企業がこぞって「対話型AI」の提供を発表しました。
本記事では、直近で人々の関心が高まっている「対話型AI」に焦点を当て、使い方の基本や留意点、日々のビジネスにどう活用できるかについて解説します。
1.Chat GPTとは?
「Chat GPT」とは、2019年から「OpenAI」というAIの研究組織が提供している「対話型AI」のひとつです。
「対話型AI」とは、チャット画面を通して人の問いかけを理解し、自然な形で会話を展開していきながら、調べたいことや解決したいことについてヒントを与えてくれるサービスのこと。
次図のように、日常会話のようなトーンでチャット画面に日本語で問いかけを入力すると、日本語で回答を返してくれます。また、英語でも利用可能で、世界中の約30ヶ国語に対応しています。
Chat GPTの利用手順
「Chat GPT」は誰でも簡単に、次の3ステップで利用開始できます。
1.ブラウザで Chat GPT にアクセス
2.アカウント登録をする(Googleアカウントか、Microsoftアカウント連携によるログインも可能)
3.対話開始
スマートフォンからでも、ブラウザ経由でアクセスするか、専用アプリをインストールすることで利用可能です。
2.新たな検索Bingとは?
Microsoftも「対話型AI」の提供を開始しています。
同社の検索エンジン「Bing」が2023年2月7日に大幅アップデート、検索エンジン利用時に、対話型AIがアシストしてくれるようになりました。
前出「Chat GPT」の言語処理モデルを搭載しているので、複雑な答えを得たい場合に、スピーディーに回答をもらえることがメリットだと言えます。
ただし現在(2023年2月21日時点)、AIチャットボットの品質向上のため「1回の利用時に5会話まで」「1日の合計は50会話まで」という利用制限が設けられています。
検索Bingの利用手順
検索Bingの利用手順について解説します。(2023年2月21日時点の情報)
- Microsoftアカウントを作成し、Bingにログインする
- 「ウェイトリスト(利用順番待ち)」に登録する
- Microsoftから利用開始通知が来たら、Bingにログインして対話開始
3.対話型AIの強みとは?
「対話型AI」の強みについて何点か解説します。
従来の検索エンジン同様に「今、答えを知りたいこと」を問いかけて回答を得ることも可能です。しかし、データ処理にやや時間が必要なため、「特定の企業の所在地」「特定の飲食店の営業時間」といったシンプルな答えを知りたいだけなら、従来の検索エンジンを使うほうが処理速度が速そうです。
「対話型AI」を活用するなら、例えば
- 文章やWebページの要約
- 競合分析
- SWOT分析
- インタビューの項目作成
など、一度に複雑な答えを得たい場合に利用するとメリットが大きいと言えます。
①文章やWebページの要約
一例として、日本の古典文学の中から「平家物語の要約をして」と問いかけてみると、次のような回答が得られました。
特定のWebページのURLを伝えることで、内容の要約もしてもらえます。
②競合分析
「競合分析」「SWOT分析」などもできます。自力で複数のWebサイトを何度も訪問して調べるよりも、格段にスピーディーに答えを得ることが可能です。
③クリエイティブなヒントを得る
一例として「インタビュー項目の作成」などが挙げられます。
- 取材対象者の人物像
- 取材テーマ
を伝えると、10項目ほどインタビュー項目案を提示してくれます。
4.対話型AIの留意点
本記事の筆者は「Chat GPT」「検索Bing」を実際に数週間程度利用し、さまざまな対話を通して挙動の検証を行っています。その中で時折、対話型AIが架空の飲食店名を回答してしまう、といったケースも見られました。
また、「天気予報」など未来のことは回答を避ける動きをします。これは、未来のことに関してはデータを持っていないから答えられない、という意味だと解釈しています。
ゆえに、「対話型AI」の利用をこれから始める方は、まずは自分が既に答えを知っていることを敢えて問いかけてみて、情報確度の検証・見極めを行うプロセスを経るほうが良いでしょう。
そのうえで「自分の日常生活にどう活用できるか?」「仕事のアシスタントになり得るか?」などを考えていきましょう。
まずはAIと対話して仲良くなる、どう問いかけを工夫すればうまく答えを引き出せるか、トライしてみることが大切です。
問いかけの前提条件や、目的を明確にしてから質問を投げかけることが一つのポイントだと言えそうです。現時点で「対話型AI」とはデータベースの巨大な海から既出の情報を高速で拾って、分かりやすくユーザーに見せてくれる、という動きをしているためです。
利用者側が、「どういう文脈の情報が欲しいか」をあらかじめはっきりと伝えてあげると、比較的うまく答えを返してくれる傾向にあるようです。
5.まとめ|対話型AIの今後
本記事では、「対話型AI」に焦点を絞って、現時点でどなたでも利用しやすい「Chat GPT」「検索Bing」について詳しく解説してきました。
今後はGoogleや、中国の検索大手「百度(Baidu、バイドゥ)」も「対話型AI」の投入を明らかにしており、2023年は巨大IT各社による「対話型AI」開発競争がめまぐるしいスピードで繰り広げられていきそうです。
「対話型AI」を、個人的な調べ物だけでなく、ビジネスや教育現場に「活用するべきか?禁止するべきか?」という議論も始まりつつあります。
「対話型AI」に関心を持っている人は、今後も開発・アップデートをめぐる各社の動向をウォッチしておきましょう。