業界動向

日本建築学会論文集 2025年11月号掲載論文まとめ

日本建築学会論文集の2025年11月号に掲載された全34編の論文を分野別に網羅的にご紹介します。構造系14編、計画系15編、環境系5編の最新研究成果から、建築学の最前線を探ります。

Contents
  1. 構造系論文
  2. 計画系論文
  3. 環境系論文

構造系論文

電気炉酸化スラグ粗骨材を用いたコンクリートの骨材の置換率制御による高温加熱時の脆弱化の抑制

著者: 伊藤 洋介, 田中 凜, 坂口 航平
概要: 電気炉酸化スラグ粗骨材(EFG)を用いたコンクリートは、加熱時にEFGが膨張することで脆弱化する。本研究では、500℃での加熱時間ごとのEFGの組成分析と体積測定を行い、加熱時間が2時間ではEFGが膨張しないことを確認した。また、500℃での加熱時間ごとのEFGの置換率が異なるコンクリートの力学特性を測定した結果、EFGの置換率が20%のコンクリートは、加熱時間が4時間であっても力学特性を損なわないことがわかった。

電気炉酸化スラグと発泡スチロールビーズを骨材としたモルタルの製造時における振動数と加振時間、水セメント比が断面の骨材分布に及ぼす影響

著者: 伊藤 洋介, 河辺 伸二, 矢部 啓悟, 酒徳 拓実
概要: 電気炉酸化スラグと発泡スチロールビーズを骨材としたモルタル(ビーズスラグモルタル )は、硬化前に振動を与えることで広帯域の電磁波吸収体として利用できる。本研究では、ビーズスラグモルタルの製造時における振動数と加振時間、および水セメント比が、モルタル断面内の骨材分布に及ぼす影響を調査した。その結果、広帯域の電磁波吸収体となる骨材分布を実現するためには、振動数が高いほど、加振時間が短いほど、また水セメント比が低いほど良いことが明らかになった。

鉛プラグ挿入型積層ゴムの繰返し変形による特性変化を考慮した応答スペクトル法に基づく免震建物の地震応答予測(その3 ):オイルダンパーを併用した免震建物への適用

著者: 小林 正人, 千田 悠人, 小池 広輝
概要: 南海トラフ巨大地震による長周期地震動(LPGMs)への対策として、2016年に国土交通省告示第2009号で規定されていた応答スペクトル法(RSM)は、確立された手法がないとして適用外とされました。しかし、RSMは個々の地震特性に依存せず、設計応答スペクトルを用いて構造安全性を包括的に評価できる利点があります。本研究では、鉛プラグ挿入型積層ゴムとオイルダンパーの繰返し変形による特性変化を考慮した応答スペクトル法を提案します。この提案手法を非線形時刻歴応答解析と比較することで、その対応関係を検証し、提案手法の有効性を評価します。

ティモシェンコ梁のせん断変形の形状係数に関する考察

著者: 小野里 憲一
概要: ティモシェンコ梁理論の方程式を解くことは容易ではないため、せん断に関する多くの形状係数が提案されてきた 。本論文では、重ね合わせの原理を満たし、梁を曲げ側とせん断側に分離する手法を提案する。次に、弾性理論の方程式を2つの状態に分け、それぞれの方程式を元の式から簡略化することで、より容易に解けるようにする。結果として得られたせん断形状係数は、従来提案されてきたものとは異なり、ポアソン比に依存しないことが示された。

ケーブル構造の中間接合金具におけるボルト軸力減少係数に関する研究

著者: 野呂 航, 山川 喬平, 宮里 直也, 岡田 章, 廣石 秀造, 鴛海 昂
概要: 本論文では、ケーブル構造の中間接合金具の設計法を合理化することを目的として、ケーブル張力の増大および経時変化によるボルト軸力の減少を評価するための新しいボルト軸力減少係数を算定し、評価した 。まず、ケーブル張力の増大に伴うボルト軸力の変化を実験的に求めた。次に、経時変化によるボルト軸力の減少係数を実験結果から算定した。最後に、これら二つの実験結果を考慮した新しいボルト軸力減少係数を算定し、現行のボルト軸力減少係数と比較した。

胴付き小根ほぞ差し鼻栓止め仕口の回転抵抗性能評価法の検討

著者: 海瀬 啓, 河原 大, 笹谷 真通, 中尾 方人, 大橋 好光, 青木 謙治
概要: 本論文は、伝統的な木造建築における胴付き小根ほぞ差し鼻栓止め仕口(鼻栓 )の回転抵抗性能を評価するための手法について報告するものである。実大曲げ実験の結果に基づき、正方向および負方向の両方について力学モデルを構築し、初期剛性と降伏耐力の評価式を検討した。評価式から得られた推定値と実験結果との比較検討から、一定程度の整合性が得られることが確認された。

合板及び LVL 内部の直交積層が部分圧縮性能に及ぼす影響

著者: 須藤 竜大朗, 宮本 康太, 井道 裕史
概要: 木質材料の部分圧縮性能は、構造設計において重要な要素である 。近年、直交積層された木質材料が開発されており、その性能が注目されている。部分圧縮荷重が木材の繊維方向と直交する領域では、追加された長さの領域が変形しないのに対し、繊維方向と平行な領域では変形する。このため、直交積層された材料では、この領域に変形拘束が発生し、部分圧縮性能が向上する可能性がある。本研究では、単板積層試験体を用いた実験的評価と、パステルナークモデルに基づく力学モデルを用いた理論的評価により、この効果を定量的かつ実験的に検証した。

高空間分解能計測に基づく RC 造曲げ破壊型耐震壁の変形機構分析

著者: 浅井 竜也
概要: RC造曲げ破壊型耐震壁を対象に、高空間分解能計測を用いた静的載荷実験を実施し、主筋降伏までの変形機構を詳細に分析した 。その結果、変形は曲げ変形と付着すべり変形が支配的であり、斜めひび割れの発生に伴う重要断面の圧縮縁応力増加が変形を推定する上で本質的な現象であることを明らかにした。さらに、斜めひび割れの発生によって解放された引張鉄筋のモーメントを圧縮縁のコンクリートが代わりに負担すると仮定することで、この現象を定量的に再現することに成功した。

水平二方向に偏心する杭頭接合部の梁下端引張時の構造性能

著者: 神野 帆乃香, 楠原 文雄, 市之瀬 敏勝
概要: 本研究は、梁下端に引張力が作用する荷重下における、水平二方向に偏心を有する杭頭接合部の構造性能を調査したものである 。ひび割れは、引張側の杭主筋先端と圧縮側の柱主筋先端との間に発生した。測定された強度は、従来の曲げ解析による強度よりも低く、特に杭頭の深さが小さく、杭主筋の定着長さが短い場合に顕著であった。

貫通孔を有するアンボンド PCaPC 十字形柱梁接合部の釣合破壊耐力

著者: 松永 健太郎, 谷 昌典
概要: 本研究では、RC(鉄筋コンクリート )造の柱梁接合部の理論式に、アンボンドPC(プレキャスト・プレストレストコンクリート)部材特有のアンボンド効果と貫通孔の影響を付加することで、貫通孔を有するアンボンドPCaPC十字形柱梁接合部の釣合破壊耐力を算定する手法を提案し、実験結果との整合性を検証した。

めっき薄鋼板の高力ボルト摩擦接合部のすべり係数に各種変数が及ぼす影響

著者: 平塚 麻友子, 桑原 進, 清水 信孝
概要: 本論文では、めっき薄鋼板の高力ボルト摩擦接合部におけるすべり係数に及ぼす各種変数の影響について調査した 。まず、板厚とボルト本数がすべり係数に及ぼす影響を調べるために、すべり実験を実施した。次に、実験結果と比較するためにFEM解析を行った。その結果、実験とFEM解析の両方において、添接板の板厚が薄くなるほどすべり係数が小さくなること、また、ボルト本数が増加するほどすべり係数が小さくなることが明らかになった。

骨組の水平剛性を用いた節点移動のある吹抜け長柱の座屈長さ係数評価法

著者: 西村 拓真, 城戸 將江, 山西 央朗
概要: 骨組の水平剛性を用いた節点移動のある吹抜け長柱の座屈長さ係数評価法を提案した 。柔性の高い特定の層に起因する全体座屈に基づく評価法により、より正確な座屈長さ係数の算定が可能となる。

標準火災加熱を受ける構造用集成材梁の炭化深さと断面係数のばらつき

著者: 石田 誠忠, 四元 順也, 中山 征人, 戸塚 真里奈, 平島 岳夫
概要: 本研究では、構造用集成材梁を60分以上にわたって標準火災加熱する実験を行い、炭化深さと残留断面のばらつきについて考察した 。実験の結果、炭化深さのばらつきは概ね正規分布に従うことが判明した。また、残留断面の隅角部を円弧と仮定することで、断面係数の残留率の実験値を高い精度で追跡できることが示された。

構造用集成材梁と RC スラブによる合成梁の火災時たわみ挙動

著者: 岩瀬 太河, 野中 峻平, 寳田 裕貴, 戸塚 真里奈, 平島 岳夫
概要: 本研究は、構造用集成材梁とRCスラブからなる合成梁の火災時におけるたわみ挙動を調査した 。単純支持された集成材梁と合成梁に対して、載荷火災試験を実施した結果、集成材梁とRCスラブを接合することで、集成材梁単体と比較して耐火時間が20分延長されることが確認された。

計画系論文

病院建築における動線面積率に関する研究(その2 ):部門別動線面積率の推計と適用

著者: 高 鑫緖, 江 文菁, 安藤 繫, 筧 淳夫, 山下 哲郎
概要: 本研究は、病院建築における部門別の動線面積率を特定し、動線面積率の一般的な回帰方程式を導出することを目的としています。研究の結果、病院全体の動線面積率は30.3%と推定され、さらに部門別および部門の組み合わせに応じた階別の動線面積率も明らかにされました。一般外来、病棟、生理検査室、救急部門などの部門は、動線面積率に正の影響を与えることが判明しました。

「まちの居場所」における理念についての一考察

著者: 田中 康裕
概要: 近年、日本各地で「まちの居場所」と呼ばれる非施設的な場所が出現しています 。本稿では、著者がフィールドワークを行った岩手県大船渡市の「居場所ハウス」を事例として、人々がその運営理念をどのように捉えていたかを分析することで、「まちの居場所」の運営における理念の意義を探ることを目的としています。著者のフィールドノートの分析を通じて、「まちの居場所」における理念の三つの意味が特定されました。

感覚過敏及び発達障害傾向を有する人の簡易構造物を用いたカームダウンスペース使用時における生体情報とアンケート回答の傾向分析及び日本・アメリカ・フランスでの実証実験の総合比較

著者: 木村 正子, 藤井 綺香, 伊東 健一, 宮脇 雄也, 北川 啓介, 夏目 欣昇
概要: 感覚過敏や発達障害傾向を持つ人々が、外部刺激の過剰さから学校や職場などで制約を受けるという社会的な問題が存在する 。本研究は、簡易構造物を用いたカームダウンスペース(Quiet Room)が、感覚過敏を持つ人々に与える影響を、心拍数測定による緊張度の変化とアンケート回答を通じて探ることを目的としている。

戦前地方中小都市における商業地域の指定実態とその受容

著者: 宮下 貴裕, 中野 卓
概要: 本論文は、戦前の主要な地方中小都市における商業地域の指定実態を明らかにすることを目的としている 。まず、初期分析として、40都市における商業地域指定の傾向を調査し、指定面積と各種データとの関係を考察する。次に、特徴的な商業地域指定を行った10都市に焦点を当て、都市計画地方委員会での議事録に基づき、当局の指定方針と地元関係者の反応を分析する。

中国南昌市における城中村の市街地化と空間形成に関する研究

著者: 余 鵬正
概要: 本研究は、南昌市における都市村落(urban villages )の都市化状況と空間形態の変遷を、時系列的に分析することを目的とした。1946年、1967年、1983年、2003年、2023年の5時点における106の都市村落を対象とし、その都市化状況と空間形態を分類し、統計的に分析した。分析の結果、都市拡張の過程において、都市村落が農村空間から計画的な都市空間へと移行する様子が明らかになった。

地方小規模鉄道の廃線跡地における自治体の整備状況と沿線住民の利用実態の把握と跡地利用の可能性

著者: 須田 峻哉, 佐倉 弘祐
概要: 近年、人口減少や財源の制約に直面する地方において、廃線となった小規模鉄道の跡地管理には、自治体と住民の連携が不可欠となっています 。本研究は、長野電鉄屋代線を対象として、自治体による整備戦略と、沿線住民による暫定的な利用実態を明らかにすることを目的としています。

市街化調整区域の衰退集落維持を目的とした開発許可制度緩和のあり方に関する研究

著者: 浅野 純一郎, 大橋 悠
概要: 本研究は、市街化調整区域における衰退集落の維持を目的とした開発許可制度の緩和策を検討するものである 。特に豊橋市を対象とし、衰退集落と非衰退集落の立地構造を明らかにした。衰退集落は市の北東部、南東部、南西部に一体的に位置しており、特に日用品の買い物環境が不便であることが、人口減少の主な要因の一つとなっている。

災害発生後の避難生活環境に対する認識の構造

著者: 照本 清峰
概要: 本研究は、災害発生後の避難生活環境に対する認識の構造について、男女間の違いを明らかにすることを目的としている 。調査対象地域は、和歌山県印南町切目地域とし、早期復旧期における住民の生活不安と、問題解決のための対策要求との関係を明らかにするため、質問紙調査を実施した。

民間不動産における緑化の長期的な便益特性に関する数理的研究

著者: 川口 陽平, 井澤 佳織, 羽佐田 紘之, 渡部 宇子, 本間 裕大
概要: 近年、都市の緑化は重要性を増しており、民間不動産開発業者による自主的な取り組みを促すため、緑化規模に応じて容積率を即座に引き上げる制度が整備されています 。本研究では、不動産開発における利益を最大化するための最適な緑化率を分析する数理モデルを提案し、体系的な知見を提供します。

エリアマネジメント団体運営に向けた広告事業実態と制度活用に関する研究

著者: 藤井 智祥, 幕田 早紀, 豊川 斎赫
概要: 本研究は、東京都市圏の特定都市再生緊急整備地域におけるエリアマネジメント組織の管理手法と課題を、広告活動を通じて分析した 。主な発見は三点ある。第一に、景観行政とエリアマネジメント組織の調整を考慮し、基準を柔軟に更新する必要がある。第二に、事業者は地域の関係者と連携し、広告掲出に関する理解促進を図るべきである。

都市部同業者集積空間の景観に関する研究

著者: 柏原 沙織, 濵田 愛
概要: 本研究は、東京都中央区日本橋横山町・馬喰町問屋街を対象とし、歴史的な問屋街の景観特性を明らかにするために、主要な2つの通り沿いにある135棟の建物を対象に現地調査を実施した 。その結果、低・中層の建物、広い間口、連続した突出看板や庇、そしてセットバック領域への事業活動の溢出といった現在の特徴が明らかになった。

土地利用調整系まちづくり条例の改定状況に関する研究

著者: 相原 哲生, 浅野 純一郎
概要: 1970年代初頭から多くの土地利用調整系まちづくり条例(LUMO )が制定されてきた。本研究は、LUMOの改定状況を明らかにすることで、長期的な社会経済の変化に対してLUMOがどのように適応してきたかを考察することを目的としている。全国的なアンケート調査とヒアリング調査を含む完全調査を通じて、以下の結論を得た。

地方公共団体における建築事業の業務仕様書に見る CMR の役割に関する研究

著者: 高草 大次郎, 木下 光
概要: 本研究は、1990年代に日本にCM(コンストラクション・マネジメント )方式が導入されて以降のCMR(コンストラクション・マネジャー)の役割の定義がどのように変化したかを整理し、2015年以降の地方公共団体による建築事業の業務仕様書150件を分析することで、CMRの役割の現状を明らかにすることを目的とした。

個人の趣味のためのサードプレイスとして戸建て空き家が活用される可能性に関する研究

著者: 五十石 俊祐, 佐々木 優二
概要: 本研究は、分布率の低い戸建て空き家を個人の趣味のための空間(サードプレイス )として活用する可能性を明らかにすることを目的としている。調査の結果、こうした空間に対する需要が高いことが判明した。さらに、趣味空間の整備を高い支払い意思を持つ人々が先行して行うと仮定した場合、「断熱改修と防音対策」または「断熱改修と耐震改修」が不要な安価な空き家であれば、趣味空間としての戸建て空き家の活用が増加する可能性があることが示された。

鳥居の木割書の変遷から見る「とりいのミやうもく」の時代的特質

著者: 山岸 吉弘
概要: 本論文は、「とりいのミやうもく」と題された歴史的な建築書である「木割書」を分析し、中世から近世への理論的な変遷を明らかにする新たな証拠を提示するものである 。第一部では、学術分野でこれまで知られていなかった「木割書」の未研究版を解釈することに焦点を当て、テキストのより明確な理解を得ることを目的とする。

インド・カーンヘリー仏教石窟群の僧房窟に関する建築学的研究(その1 ):カーンヘリー仏教石窟群の前期僧房窟の面積と天井高

著者: 野々垣 篤
概要: 本論文は、インドのカーンヘリー仏教石窟群にある僧房窟(ヴィハーラ)に関する建築学的研究の第1報である。まず、既存の文献には掲載されていない平面図を含む、前期僧房窟69例の実測結果を提示した。次に、前期僧房窟の主要な構成要素であるホールとチャンバーの面積と天井高の違いを分析し、それぞれの用途について考察した。

南カリフォルニアの近代住宅における居住環境の研究(その1 ):R.M.シンドラーと R.J.ノイトラの住宅についての論考にみる暮らしの中の座家具のはたらき

著者: 新倉 梨加, 那須 聖, 村田 涼
概要: 本研究は、R.M.シンドラーとR.J.ノイトラが設計した住宅における、座家具を介した滞在と休息に関する居住環境のビジョンを明確にすることを目的としている。先行研究の結果を語彙ベースの分析手法に移行することで、彼らの建築論考を座家具の観点からスクリーニングした。

ロンドンにおける鉄道高架下空間の構成形式

著者: 齋藤 直紀
概要: 本研究は、十分に分析されてこなかったロンドンの高架鉄道下空間に着目し、その分布、建物用途、および空間構成を検討することを目的とする 。これらの要素を整理・分類することで、高架鉄道下空間の構造パターンを明らかにすることを目指す。本研究の成果は、老朽化したインフラを背景に改修プロジェクトが増加する中で、高架鉄道下空間の将来的な再開発や適応的再利用に向けた貴重な参考資料となる。

東京の写真付き道案内における都市空間イメージ

著者: 岩下 昂平, 塩崎 太伸
概要: 本研究は、写真付きの道案内で表現される東京という複雑な都市を把握するために用いられる都市空間イメージの特性を明らかにすることを目的としている 。インターネット上の資料を収集し、写真付き道案内における都市空間イメージを以下の側面から分析した。まず、各コマの写真に写るランドマークと指示内容を調査し、次に写真のシークエンスを分類した。

第二次世界大戦期の旧神戸雑居地における敵産管理と外国人所有地

著者: 山﨑 好加
概要: 本研究は、第二次世界大戦期における旧神戸雑居地の北野町1丁目から4丁目および山本通1丁目から3丁目に着目し、イギリスをはじめとする敵国人の所有地がどのように扱われたかを調査したものである 。日本が参戦した直後、これらの外国人所有地は管理財産となった。しかし、帰化人を含む日本国籍の保有者は、公的な財産禁止措置を免れることができた。

戦時期における旧都市計画法第 13 条による公共団体施行土地区画整理に関する研究

著者: 齋藤 駿介
概要: 戦前期から都市計画行政は、公共団体施行土地区画整理による事業推進を一貫して強力に計画しており、戦時期には、主に新興工業都市計画において急速な展開が見られました 。特に、それまで都市計画事業の実施が遅れていた地方都市では、この状況を打開する大きな期待が寄せられており、仙台はその典型的な事例でした。

オープンアクセス衛星データを用いた建物検出・属性推定の統合モデルの構築

著者: 荻野 光司, 大佛 俊泰
概要: 近年の深層学習の進展により、リモートセンシングデータからの建物検出が自動化されつつある 。しかし、高解像度画像が必要であるため、コストが高く、適用範囲が限定される課題がある。本研究では、10m解像度のオープンアクセスSentinel-2データを用いた建物検出および属性推定の統合フレームワークを提案する。建物の特徴に基づき地域を分類し、各地域に最適化したマルチタスクU-Netによりセグメンテーションと建物数推定を同時に行う。

環境系論文

欲求心理に基づく室内環境及び建築空間の統合評価手法の開発

著者: 牧野 幸太郎, 和久井 丈, 野部 達夫
概要: 職場環境は、個人の違いを考慮した環境づくりが求められている 。しかし、従来の職場環境や設備システムの心理評価は、評価尺度法によるものが多く、結果は個人的なものであった。本研究では、マズローの欲求階層説を応用し、職場環境マネジメントに対する行動動機の側面から心理分析を行い、その個人差の分布を可視化できる評価手法を開発した。

現場と VR の観光体験における行動・評価の比較研究

著者: 高 煒萱, 西名 大作, 杉田 宗, 金田一 清香, 松浦 靖晃, 陸 偉, 金 華, 森分 斗環, 姜 叡, 侯 寧, 西井 俊稀
概要: 本研究は、日本人と中国人を対象に、VRと現地での観光体験の違いを、観光行動、キャプション評価、心理評価に焦点を当てて探るものである 。目的地に不慣れな中国人被験者は、日本人よりもVRと現地での行動が類似していることがわかった。しかし、VR体験後も現地を訪れたいという意欲は依然として強い。これらの知見は、外国人観光客にとって、斬新さや文化的な独自性を盛り込むことでVR観光アプリケーションを強化することが、満足度を向上させ、より多くの現地訪問を促すことにつながる可能性を示唆している。

乾式耐火遮音壁を用いた重量床衝撃音低減のための床振動制御の研究

著者: 植村 友昭, 原田 雅俊, 伊藤 真二
概要: 乾式工法の壁を設置する前と後で床の振動特性の変化を調査したところ、重量衝撃を受けた床スラブの振動が大幅に減少する例がいくつか観察された 。本研究では、乾式工法の壁における物理現象が床スラブの振動にどのように影響するかを実測と解析の両方で調査し、その効果を解析的に評価する手法を開発した。この評価手法を用いることで、重量床衝撃音に関連する床の振動を低減できる可能性が明らかになった。

冬季の室間移動時における温冷飲料摂取が血圧変動に及ぼす影響に関する研究

著者: 森上 伸也
概要: 本研究は、冬季の急激な温度変化にさらされる際の温冷飲料摂取が血圧変動に及ぼす影響を調査した 。実験の結果、寒い環境に移動する前に温かい麦茶を摂取すると、収縮期および拡張期血圧の変動が減少し、寒い環境でのヒートショックリスクを軽減するための非侵襲的な戦略となる可能性が示唆された。

家庭用固体酸化物形燃料電池の排熱を利用したデシカントシステムの排熱利用条件の導出

著者: 水野 敬太, 太田 勇, 森本 晋平, 吉本 周平, 菊田 弘輝
概要: 本研究は、家庭用固体酸化物形燃料電池(SOFC )の排熱をデシカントシステムに利用し、効率的なエネルギー利用と健康的な室内環境を実現するシステムを開発することを目的としている。実証住宅でのSOFCの運転データを基に、熱損失を最小限に抑える最適な運転条件を特定し、その結果を用いて、排熱によるデシカントの除湿能力を最大化するための最良の条件を決定する。
【PR】生成AIに関する研修はこちら