業界動向

全国の最新BIM事例一覧|令和3年度・国土交通省支援の21事業を一挙に紹介

BIM(Building Information Modeling)とは、3D-CAD を発展させたものです。

建築物の設計から施工、維持管理・運用に至る一連の工程において、3次元モデルに2次元の図面情報や、建物に関するさまざまな情報を紐付けて活用するための概念またはプラットフォームです。

BIMは、建設・建築業界におけるデジタルトランスフォーメーションの基盤として期待されており、国もその動きを後押ししているところです。

国土交通省は令和3年度に、BIM導入の効果検証や課題分析などをトライアル的に行う取り組みについて、優れた提案を行った事業者に対し、国が検証などに係る費用を補助するとして日本全国で21事業の支援を実施しました。

この記事では、その全21事業の概要をまとめて紹介します。

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先導事業者型 7事例

「先導事業者型」とは、以下2点を満たす事業です。

①BIMを通じたデジタルデータの活用による、BIMの活用による生産性向上、建築物・データの価値向上や、さまざまなサービスの創出等を通じたメリット(特に発注者メリット)の検証など

②BIMデータの活用・連携に伴う課題(特に発注者と受注者の役割分担等)の分析など

木造住宅における、BIMとクラウドサービスを用いたCDE とECIの効果検証・課題分析|株式会社アンドパッド、株式会社小林・槇デザインワークショップ、株式会社 DN-Archi、株式会社長谷川萬治商店、株式会社長谷萬、慶応義塾大学

ワーケーション施設などとして使用する住宅(約160㎡、木造)の設計・施工段階におけるBIM活用プロジェクトです。

BIMや施工管理クラウドサービスの活用による生産性・品質向上の効果検証、発注者を含む関係者間のデータ連携や遠隔臨場での品質確保手法、ECI方式(「コスト縮減」や「工期短縮」を目的とした発注方式)による発注での設計から製造(木材のプレカット)へのデータ受け渡しに係る課題分析等を行うことが目的です。

<検証項目と目標>
・CDE(共通データ環境)下での BIM 活用によるリモートワークの実現、業務時間の短縮(設計・企画段階:156時間、監理:36時間、管理:72時間)

・発注者を含むプロジェクト参加者に対するアンケートにおける、業務の生産性・質の向上や施工品質の向上の評価(5段階評価で4以上)

・BIM を活用した ECI 方式の採用に伴う工期削減(1~1.5 ヶ月(25-33%))

本件を通して、BIMが効果的に設計・施工プロセスのDXに寄与することを実例をもって検証し、木造建築・住宅におけるBIM活用の効果と知見を深め共有していくことを目指しています。

VRモックアップの効果検証と維持管理BIMの課題分析|株式会社梓設計、戸田建設株式会社、株式会社ハリマビステム

合同庁舎(地上7階建、延床面積約48,000 ㎡、RC造)の施工段階におけるBIM活用プロジェクトです。

施工段階での発注者との調整業務をより円滑かつ効率的に行うため、BIMモデルを活用。BIMモデルと連携するVRモックアップを発注者と設計者、施工者、維持管理者が体験することで、打合せにより得られる共通認識を、空間や使い勝手などの項目で比較検討します。

さらに、施工段階で維持管理BIMを作成し、維持管理段階の継続的な管理を想定して維持

管理BIMの在り方や具体的活用方法を探ります。また、これらの取組みに関わる業務内容の課題を分析します。

<検証項目と目標>
・VRモックアップ体験による発注者・エンドユーザーとの合意形成
(発注者の打合せ及び調整時間:60%削減、発注者及び設計者、施工者との相互理解の程度:20%増加)
・VRモックアップ体験での維持管理者の事前検証によるメンテナンス性の向上
(実験室天井裏メンテナンス性:20%向上)
・現場VRモックアップの費用効果(モックアップ費用:40%削減)
・VRモックアップによる変更操作を自動的に BIM モデルに反映する仕組みの開発(レイアウト検討の調整作業:25%削減)) 

Life Cycle Consulting発注者視点でのBIM・LCCに関する効果検証・課題分析|株式会社日建設計、株式会社荒井商店

事務所・店舗(地下2階・地上11階建て、延床面積約3,000㎡)の企画・基本計画~設計プロセスでのBIM活用プロジェクトです。

賃貸事務所を企画・運営する株式会社荒井商店(=発注者)にとって、BIMとは

・受注者側である設計事務所、施工会社が発注者の意図通りにプロジェクトを遂行していることを確認するツール
・発注者自身の作業効率の向上やその他のメリットを生み出すもの

と位置づけています。基本設計・実施設計段階でのBIMの効果、特に発注者にとってのメリットに注目して検証を行います。

発注者(ライフサイクルコンサルティング=LCC業者も含む)が合意形成や維持管理検討などにBIMを活用することによる、生産性向上などの効果検証や、BIMを活用した際の発注者・LCC 業者・受注者の役割分担、BIMを活用した場合の契約・業務報酬・著作権の在り方などの課題分析を目的としています。

<検証項目と目標>
・発注業務:発注者の作業時間(10%削減)
・LCC 業務:発注者の作業時間を定量化(5%増加)
・設計業務:設計者の作業時間(10%削減) 

技術研究施設におけるBIMモデルを用いた維持管理業務効率化等の検証|株式会社奥村組

株式会社奥村組の既存の技術研究所(管理棟:1330.10㎡、S造)(室内環境実験棟:978.86㎡、S・RC造)の維持管理段階(改修工事含む)におけるBIM活用プロジェクトです。

設計者・施工者だけでなく発注者目線でのFM(ファシリティマネジメント=施設管理)システム構築、ワークフローの検証を実施し、将来的にはデューデリジェンス(投資価値/リスク調査)、不動産資産の価値向上の分野でのBIM活用を進めていくことを見据えています。

発注者として起案したBIM発注者情報要件(EIR)を、ライフサイクルコンサルティング担当が検証、施工者・設計者としてBIM実行計画(BEP)の立案・検証も行います。

<検証項目と目標>
・維持管理業務時間(5~10%削減)
・改修工事の設計業務時間(10%削減)
・改修工事の施工業務時間(10%削減)
・不動産価値評価(5%向上)

建材と施工の電子商取引に向けたBIMデータ連携の効果検証・課題分析|スターツアセットマネジメント株式会社

賃貸共同住宅(実案件:地上14階建て、延床面積 1,839.65㎡、RC 造)(仮想案件:地上4~10階建、延床面積300~3,000㎡、RC 造)の主に積算見積〜発注段階での電子商取引におけるBIM活用プロジェクトです。

BIMデータの活用による見積業務の効率化、価格透明性の向上等の効果検証や、専門工事業者の見積や製造プロセスとのBIMデータ連携に係る課題分析を目的としています。

<検証項目と目標>
・見積に必要な属性情報の整理・実装(BIM の属性情報に90%以上実装)
・BIM データの活用による見積書作成時間(80%以上削減)
・手拾いと比較した数量算出作業量(数量差±5%以内)

業務効率及び発注者メリットを最大限に創出する【役に立つBIM】の効果検証|大和ハウス工業株式会社、株式会社フジタ

①仮想の全国チェーン施設(地上1階および2階建て、延床面積約1,200㎡、S造)の設計段階における、BIM標準の発注者メリットを検証するものです。
(標準化、時間短縮、意思伝達時間管理法令チェックによる手戻り削減、データ管理の一元化、IoTの活用)

②自社で所有する研修所(地上4階建て、延床面積16,956 ㎡、S 造)の維持管理段階において、デジタルツインによる維持管理情報の発注者メリットを検証するものです。
(保全業務のデジタル化、サービスリクエスト処理、IoTによる建物稼働データの収集)
※事務局とCDE環境は、①②で共通、相互連携

<検証項目と目標>
・標準設計 BIM モデル作成による設計業務効率化
(設計図作成時間:3割減、標準更新時の伝達時間:1割減 申請図書の作成・管理時間:2割減、検査の各項目に係る時間:1割減)

・デジタルツインによる維持管理業務の効率化
(情報検索や報告時間:3割減、サービスリクエスト完了時間:1割減、異常検知から応急処置までの平均対応時間:2割減) 

建物のライフサイクルを通した発注者によるBIM活用の有効性検証(令和3 年度事業)|​​日建設計コンストラクション・マネジメント株式会社、日本郵政株式会社

日本郵政が日本全国35箇所で所有・管理運営する宿泊施設(5,000~15,000㎡程度、RC 造・S 造)を対象とした、維持管理段階におけるBIM活用プロジェクトです。

複数施設の群管理にBIM-FMシステムを利用し、戦略的な施設投資検討に係る効果検証や、そのために必要な BIMモデルの要件定義やデータセットの整備、統括管理部門と現地施設管理者の情報共有プラットフォームとしてのBIM-FMシステムの在り方に係る課題分析を目的としています。

<検証項目と目標>
・宿泊施設における CAPEX(中長期保全コスト)ならびに OPEX(運営コスト)の作成時間(4割削減)
・次年度保全予算の策定にかかる技術職員の総業務時間(2割削減)
・上記の策定のためにかかる現地調査にかかる業務時間(3割削減) 

パートナー事業型 5事例

以下の①②の両方を実施する事業です。

①BIMを通じたデジタルデータの活用による、BIMの活用による生産性向上、建築物・データの価値向上や様々なサービスの創出等を通じたメリットの検証等

②BIMデータの活用・連携に伴う課題の分析等

BIMを活用した建物ライフサイクル情報管理とデジタルツイン及びソフトウェアエコシステムによる支援の検証|鹿島建設株式会社

鹿島建設グループ内の研修センター(改修、延床面積 1,743.18㎡、S造)、事務所(新築、延床面積 21,449.28㎡、S造)を対象とした、設計・施工・維持管理段階での BIM活用プロジェクトです。

プロジェクトの中核には、国際標準オープンBIMの共通データ環境(CDE)を据え、日本国内の設計、施工、運営維持管理ワークフローに適して開発した、統合ソフトウェアエコシステムを検証します。

BIMに加えて、スマートBMソリューション(建物管理プラットフォーム)との連携によって、建物の神経系のように機能するデジタルツインを構築し、建物の情報をライフサイクルを通して一元管理します。

現在の情報管理プロセスの非効率性と冗長性を継続的に特定・改善し、BIMデータの有効性、恒久性、拡張性、及び、公共性を確保することを目標としています。

<検証項目と目標>
・建物アーカイブのデータベース構築、更新作業の削減(時間等:10%削減)
・BIMを活用したファシリティコスト評価(時間:半減)
・BIMに紐づけた FM業務データの相乗効果による付加価値(30%向上)
・BIMを活用した状態基準維持管理による作業効率向上(作業量:10%削減)
・BIMを活用したスペース管理の効率化(業務量:大幅減)
・BIMに基づくドキュメント管理の有効性(時間:半減)
・完全に統合されたソリューションによる情報管理の満足度向上

発注者の資産となるべき情報のBIM活用における調査・検証・課題分析|明豊ファシリティワークス株式会社

大学研究施設(延床面積約 46,000㎡、S造)を対象とした、企画から維持管理段階における BIM活用プロジェクトです。

CM(コンストラクション・マネジメント事業者=建設プロジェクトを推進する組織)の視点と立ち位置から、発注者である大学法人の意思決定の迅速化や経営視点・運用視点でのBIM活用にフォーカスし、建設プロセスにおけるBIMの在り方が明確な“受発注者の相互利益”に寄与することを目的として検証を行います。

検証の前提として、複数の施設やインフラの管理が必要な“キャンパスBIM” にターゲットを絞り、発注者のニーズと利益をより明確に抽出するために複数の学校法人を対象に調査・検証を行います。

<検証項目と目標>
・発注者が施設運用において BIM 活用に期待していること
(発注者の有効な資産となるべき情報を最大公約数として導出する)
・施設管理の円滑化に伴う、発注者業務量の削減(時間:想定 30%削減)

目指すゴールとして、
・発注者のBIMへの理解をより深めること
・発注者の “資産となるべき情報” とBIM活用における課題を明らかにすること
・発注者ニーズに即した施設情報管理の在り方とEIRの具体例を示すこと

を掲げています。

増築工事における、BIM モデル活用による生産性向上の検証|東急建設株式会社

事務所・店舗(10階建て、S造)の既存解体を含む増築工事を対象とした、施工段階での BIM活用プロジェクトです。

・増築工事において、専門工事会社との協働でBIMデジタルデータを活用
・納まり検討から製作にいたるプロセス
・施工計画から施工にいたプロセス

上記各プロセスでの定量的効果を測定するものです。

<検証項目と目標>
・デジタル測量とアナログ測量の、測量及び設計統合モデル作成(工数:30%削減)
・プレカットやプレファブリケーションによる施工と従来手法の比較
(工程短縮(人、日):25%削減、廃棄物数量比較(t):20%削減)
・施工計画に関わる 2D・3D工数の比較(人、日:30%削減)
・安全巡視指摘是正や足場等の組み換えに関わる比較(人工:20%削減)
・数量積算に関わる工数の比較(人、日:80%削減)
・デリバリーの生産性向上及びCO2削減(台:20%削減)

生産施設におけるBIM活用検証(環境・木材利用・建築生産)|大成建設株式会社

生産施設(延床面積約18,826.22㎡、S造+W造一部)を対象とした施工・運用段階における BIM 活用プロジェクトです。

地域社会と共存し、災害に強く環境負荷低減に配慮したサステナブルな生産施設施工・運用においてBIMを活用し、発注者に寄り添う建築情報の統合を目指します。

カーボンニュートラル/省エネへの効果の見える化、レジリエンス情報の統合、建材トレーサビリティの検証、竣工図書や建物取扱説明書のデータベースとしてのBIM構築、BIMとデジタル技術(ロボット/BEMS/IOT)との連携、CLTのプレカット検証(デジタルファブリケーション)、設計施工(製作)のデータ連携に取り組みます。

<検証項目と目標>
・設計図書/施工書類/竣工書類/運用書類を統合し建物に関する情報をスムーズに取得することによる業務の効率化(情報取得スピード)(時間%:30%向上)

・建物に実装されたデジタル技術の統合管理の利用による、発注者建物管理業務の効率化(管理業務(清掃/運搬/測定)の効率化)(時間%:20%向上)

・デジタルファブリケーションや XR化を実施する場合の設計者と施工者でのデータ作成区分や連携スケジュールの設定による業務の効率化(データの二重作成の防止など生産性向上)(時間%:50%向上)

クラウド コンピューティングを活用したプロジェクト関係者間におけるB、C工事も想定したBIMデータ連携およびコンピュテーショナルデザインとスペースマネージメントに関する取り組み|東洋建設株式会社

専門職大学(地上4階建て、延べ面積約10,000㎡、S造(一部RC 造))を対象とした設計・施工・維持管理段階におけるBIM活用プロジェクトです。

情報共有/連携による生産性向上、正確なエビデンスによる説明、竣工後の部屋運用を見える化することによる効果と課題を検証します。

・発注者を含むさまざまなプロジェクト関係者とのタイムリーな情報共有、および、利活用のためのワークフローについて検証する。
・アルゴリズミック・デザイン、PLATEAUデータ活用による作業工数削減とアカウンタビリティーの向上効果について検証する。
・竣工後の各部屋の運用を効率的に実施できるスペースマネージメント手法について発注者とともに検証する。

<検証項目と目標>
・BIMモデル等のクラウド共有化、ワークフロー変更等に伴うプロセス効率化(時間:20%削減)
・見える化されたエビデンスに基づく計画の発注者及び近隣住民における理解度・満足度(ヒアリング/アンケート等、満足度:75%以上)
・施設利用段階における各室の効率的な運用へのBIMモデルの活用(ヒアリング/アンケート等、満足度:75%以上)

中小事業型BIM試行型 9事例

中小事業者において、複数の事業者などでグループを結成し、以下の①~③すべてを実施する事業です。

①建築プロジェクトへのBIMの導入や試行的な取り組みを通じて生じる「課題の分析」と、その「課題解決のために実施する対応策」の検討

② ①の検討を通じた「BIMの活用効果」の検証と、その効果を増大させる「今後の改善方策」の検討

③ ①②を通じた、中小事業者のBIMの導入・活用ロードマップ素案を提示

地域の設計業者を束ねたフルBIMモデル構築と地方ゼネコンにおけるBIM規格の有効性確認とその効果検証|美保テクノス株式会社、株式会社桑本建築設計事務所、株式会社平設計、有限会社亀山設計、ダイキンHVACソリューション中四国株式会社、ダイキン工業株式会社

庁舎(延床面積3,600㎡、S 造)を対象とした、設計・施工・維持管理段階でのBIM活用プロジェクトです。

地方ゼネコンでBIMを導入・活用しようとする場合、「マンパワー」「コスト」「スキル」に限界があり、協力業者、メーカーのプロジェクト参画はさらに難しいという現状があります。

そこで、このプロジェクトでは、BIM規格の策定で実現可能となったフルBIMの活用により、意匠、構造、設備のそれぞれの設計事務所が作成した図面の整合性の確保、各作図効率の向上、発注者、協力業者、メーカーとのBIMデータ共有による合意形成のスピードアップ、設計不整合箇所の施工前検討による手戻りの削減などのBIM本来のメリットを、地方の共同事業グループでも享受できる建築生産性向上のモデルケースを構築し、効果の検証を行ないます。

<検証項目と目標>
・フルBIMによる建築生産性向上
設計:BIM規格に基づいた作図とルーティンワーク効率化による作業時間30%減
施工:着工後手戻り、手直し回数 0回
   事前シミュレーションによる設備仕様・設計変更の回数 0回
   地元協力業者への2次元CADデータ作成時間 50%減

・建築生産フロー構築のためのコスト把握
最低限のフルBIMモデルを構築するために必要なコスト 1000万円以下
維持管理モデル構築におけるコスト把握
維持管理モデル構築、維持管理システム連携のコスト 1000万円以下

地方ゼネコンが中小事業主体の仲立ちとなって設計情報のBIM化と整合性を向上するという、地方型のBIM建築生産体制のひな型となり得るプロジェクトです。

内装専門工事業者による施工BIM活用の検証と提言|新日本建工株式会社、キートラスト&アーキテクノロジー合同会社、株式会社APPLICA

共同住宅(延床面積10,085㎡、RC 造)を対象とした、内装工事段階におけるBIM活用プロジェクトです。

BIM及びBIMビューア機能付きグループソフトウェアを活用し、BIMモデルからの内装工事に必要な材料・施工情報の抽出、ゼネコンとの原価決定プロセスにおけるBIMの合理性、

BIMモデルからの材料プレカットリストの生成による生産性、BIMにより作成した施工計画・図書の設計管理・工程管理への活用、BIMを活用した出来高管理・原価管理に係る課題分析及び効果検証等を実施するものです。

<目標>
・設計時から施工までBIMを導入することで、その後のワークフローをデジタル化/簡素化し、プロジェクトの期間短縮と設計品質を担保する。
・災害リスクと災害機会を低減させながら業務効率を20%程度向上させ「職人DX」を普及させる。(プレカット施工)

内装専門工事業者(サブコン)が主導して総合建設業会社(ゼネコン)、材料メーカーへと BIM 活用のすそ野を広げるプロジェクトです。

仮想PJ見谷ビル新築工事におけるBIM活用による基礎工事の施工効率化の試行|株式会社見谷組、轟建設株式会社

事務所(延床面積1056.69㎡、S造、4階建て)を対象とした、施工段階でのBIM活用プロジェクトです。

BIM モデルからの図面化及び数量算出の自動作成、掘削作業のICT化、3Dによる可視化、AR端末機器等を用いた現場への3Dモデル投影、互換性の持つ形式でデータの受け渡しに係る課題分析、施工図等の作成業務時間の短縮、ICT 重機との連動プロセス、BIM の可視化を利用したリスク回避等に係る効果検証等を実施します。

建築工事におけるICT土工との連携にテーマを絞り、BIM を核とした情報化施工の実証を試みるプロジェクトであり、BIM活用による生産性向上につながるものです。

庄内BIM研究会におけるBIM活性化に向けたケースメソッドとワークフローへのアプローチ|【庄内BIM 研究会】ブレンスタッフ株式会社、株式会社佐藤工務、鶴岡建設株式会社、林建設工業株式会社、株式会社丸高

事務所(延床面積 2,286.14 ㎡、S造、2階建て)を対象とした、設計・施工段階でのBIM活用プロジェクトです。

設計者及び施工関係者との合意形成早期化、施工プロセスでのBIM活用に向けたモデルデータ共有が目的です。

<課題>
・S4モデルデータに付加すべき情報・オブジェクトを把握
・S4モデルデータに上記の情報・オブジェクトを付加する役割を担うプロセスの明確化

<目標>
・具体的なBIMモデルデータの活用方法を実体験することで、“BIMに対する期待度”がどのくらい変化するのかを検証する。(モデル事業実施前と実施後に総合建設業の会社にアンケートを実施し、変化量を可視化できるか検証)

・BIMに対する期待度が上がれば、BIMに対する敷居は心理的に下がると予想される。本プロジェクトで得られた成果を、地方でBIM導入検討している企業へ共有する。

千葉県BIM推進会議|千葉県耐震判定協議会、一般社団法人千葉県建築士会、公益社団法人日本建築家協会関東甲信越支部千葉地域会JIA千葉、一般社団法人日本建築構造技術者協会関東甲信越支部JSCA千葉、一般社団法人千葉県設備設計事務所協会

事務所等を対象とした、基本計画段階から基本設計・実施設計、設備設計段階における BIM活用プロジェクトです。

これまでBIMの利用とは、各団体に所属する個人、または法人での利用かつ3DCAD的なプレゼン利用がほとんどでした。

県内での中・小規模設計事務所(意匠・構造・設備設計事務所)が集まって横の繋がりを持つことで3DCADからの脱却を試み、BIM活用におけるメリット・デメリットを仮想的なプロジェクトにより検証するものです。

さらに、活用の促進を考えた場合の各事務所間のデータの変更に伴うやりとりをスムーズに行うにはどのようなシステムを構築する事が良いかを試行します。

<目標>
・用語や標準ワークフローを理解する事で、問題の共有化を行う為の共通言語とする。また経済的にも中・小規模事務所で維持可能な環境を模索する。
・仮想案件での実施設計を通じ、メリット・デメリットを具体的に知る。2000㎡程度S造を仮想建物の例とし案件の入力を進めるとともに、リアル・リモートを併用した進捗状況の確認を月1回程度行い、問題提起・解決の手法を模索し共有する。
・中小規模事務所では各事務所間での連携が重要となる事が考えられるので、さらに仮想案件RC造2000㎡程度の入力を実施し、前年度の課題を克服しつつ、理解及び習熟度を高める。

地域におけるBIM 推進活動のひな型になる取り組みとして、今後の波及性も期待できます。

個別またはクラウド共同設計における、構造種類別BIMスターターパックと、BIM支援環境整備の有効性検証の提案|フローワークス合同会社、一級建築士事務所山田屋、東原建築工房、有限会社原忠、PLATS一級建築士事務所、株式会社ファンシェア齋藤正吉建築研究所、design office porte、bless空間設計、平光佳絵、Liv設計工房、スタンズアーキテクツ株式会社

小規模住宅(木造(在来/伝統構法))、小規模児童福祉施設(鉄骨造)を対象とした、導入プロセス、企画段階から設計段階におけるBIM活用プロジェクトです。

「小規模設計者によるBIM設計業務の効率化」「場所を問わない共同設計環境の構築、作業者間の力量差解消」を目的としています。

実務で求められるBIMスターターパックのあり方を検討します。その実効性については、複数事務所による検証によりその効果を確認します。提供方法に関してはパックの内容に合わせた導入支援は必須と考えられるので、その方法を同じく複数事務所で検証を行い、最適と考えられる方法の提供につなげます。

BIM設計のノウハウのある複数の事業者・人が共同して、BIM支援につながる設計環境を開発する取り組みであり、中小事業者にBIM活用が波及していくことを期待できます。

地方における地場業者間でのBIM連携モデル検証|株式会社 ixrea、株式会社渡辺組

住宅(延床面積約429.94㎡、RC造)を対象とした、企画から設計・施工・工事監理段階におけるBIM活用プロジェクトです。

「BIMcloud」の活用によって、設計企業・施工企業・各種専門業者等のプロジェクト関係者全員が一つのデータに同時アクセスできる環境を構築し、設計・施工・監理業務を実施します。

<検証項目>

  • 企画・設計段階において複数社が一つのBIMデータを活用する際の障害やデメリット
    ・一つのBIMデータをベースに、基本設計段階での施工検討を同時に行えるか。
    ・作成したBIMモデルを利用してスムーズに確認申請業務が行えるか。
    ・設計から申請まで利用したモデルを、施工図作成用のモデルへと転換できるか。 など
  • 施工・監理段階において現場関係者がBIMデータを積極活用する際の障害やデメリット
    ・BIMモデルでの検証内容と、実際の現場での乖離がないか。
    ・BIMモデルを利用して行政検査、竣工検査を行えるか。 など

ヒロシマBIMプロジェクト|【ヒロシマ BIM プロジェクトチーム】株式会社杉田三郎建築設計事務所、株式会社田原泰浩建築設計事務所、下岸建設株式会社

中規模の事務所または共同住宅を対象とした、基本計画段階から設計段階までの一連の流れにおいてBIMを活用するプロジェクトです。

<課題>

  • 異なるプラットフォームを繋げた協働
    中小事業者がBIMを活用した協働を行う場合、使用するBIMソフトやファイル形式などが統一されている事は少なく、大規模事業者とは異なる協働の課題を抱えている
  • BIMを活用した維持管理コストの算出
    ライフサイクルコストマネージメントの重要性が高まる一方で情報技術を活かした手法についての検証が進んでいない
  • 地域に根差したBIMコミュニティづくり
    地方都市においてはBIMの導入や運用を担う人材の育成と、横の繋がりの形成が不可欠

<目標>

  • IF(Industry Foundation Classes=建物を構成する全要素のシステム的な表現方法)の活用について、ソフト間でのやり取りにおいてモデル内の主要な要素がどの程度情報を保持して渡されるのかを比較検証し、最も活用しやすい方法を見つけ出す。また、IFCが使えない場合のデータ共有方法について検証する。
  • BIMから算出できる維持管理コストを明らかにすると同時に、その割合を最大化するためのモデリング方法や属性情報の入力方法について検証する。
  • 実践的にBIMを使った設計を行うためには、様々な課題を乗り越えていく必要がある。その課題を超えていく仲間を作る場として設計された「ヒロシマBIMゼミ」の在り方を見直しつつ、規模を拡大し、様々な専門家が協力しあえる環境づくりを目指す。

特に IFC の活用とその限界等の課題についての検証は、これからBIMによる協業を行おうとする事業者・人にとって、有益な知見となることが期待されています。

BIMによるライフサイクルアセスメント(LCA)への展開と有効性の検証|株式会社FMシステム、東京都立大学

事務所・店舗・駐車場(延床面積 49,661㎡、鉄骨造(RC、SRC造)、既存建築物)を対象とした、維持管理段階におけるBIM活用プロジェクトです。

生産BIM(設計、施工)から維持管理BIMへのデジタル情報の引き渡し方法と運用について検証を行い、BIMによる新しい分野(FM)の開拓とデータの共通化による中小規模事業者のFM参入やDX推進を目的としています。

<課題>

  • BIM・FMデータの整理
    FMの維持・保全分野の情報とBIMモデルの情報連携の整理を行う。
  • デジタルハンドオーバー(DHO)の整備
    保全業務の効率化として項目の整備と体系化を行う。
  • デジタルハンドオーバー(DHO)の運用
    施設の明確な状態把握として劣化判定、環境状況、資材調達や数量、コストなどの把握を行い、これらの業務の効率化検証を行う。

<目標>

  • BIMとFM情報分離による効果検証
    BIMのプロパティにFMに使われる情報を入力した状態と、BIMとFMの情報を分離した時の運用面や効果について定量的な検証を行う。
  • DHOによる維持・保全業務への効果検証
    作成されたDHOが維持・保全に効果的に、また、過不足なく適用できるか検証をする。
  • DHOによる修繕業務への効果検証
    DHOを使って保全項目が現場で即座に入手でき、現状とデータの比較が可能か、それによる修繕依頼へつながるか、確認する。

まとめ

BIMデータをフル活用することによって、VRモックアップやデジタルツイン生成など、新たな施策投入も可能になり、設計段階の合意形成をはじめ、建設のワークフローが格段にアップデートされます。

また、発注者視点でBIMを活用しようとするトライアル事例が多いこともポイントであり、

新築時だけでなく、建物の中長期的な維持管理も効率的になることが見込まれています。

事例では大手ゼネコンだけではなく、地方ゼネコンや中小企業の中からも、BIMの取り組みにチャレンジしつつある動きが多数見られました。

今後は、知見を持つ事業者・人を中心に横展開が進んでBIMの取り組みがさらに波及していくことが期待されます。


参考元

令和3年度BIMを活用した建築生産・維持管理プロセス円滑化モデル事業

 

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