インタビュー

重宝されるエンジニアになるための情報収集とスキルとは?|イワケンさんインタビュー

新しい技術や情報が駆け巡る現代で重宝されるエンジニアになるには、どのように情報収集をしたらよいのか、どのようなスキルや姿勢が必要なのか。実際に前線で活躍されているイワケンさんが日々意識していることに迫ります。

 

イワケンさん
X:https://twitter.com/iwaken71
Iwaken Lab.:https://iwakenlab.jp/

バーチャル領域で最先端を行くイワケンさん

サイバーエージェントでXR(VR、AR、MRの総称)エンジニアをして6年目になります。入社した2018年からバーチャルYouTuberのエンジニアリング、2020年にはコロナ禍におけるバーチャルイベント事業のエンジニアリングを経て、現在はメタバース領域でフォートナイト事業のエンジニアリングをしています。バーチャル領域において、その時代の最先端でエンジニアリングの仕事をすることが多かったです。

また「Iwaken Lab.」という、技術好きな学生を応援するコミュニティを個人で運営しています。若い技術者たちが自分の情熱や技術を発揮し、生き生きと仕事をする社会人になることを応援するコミュニティです。

今の日本の若い技術者は、好きな技術があっても、それをどう生かしたらよいかなどのノウハウがないことが多くあります。それで結局諦めてしまうこともあり、すごくもったいないと思っています。私は運良くやりたいことで技術者になれているので、好きなことを生かして活躍していくための考え方やノウハウを共有したり、一緒に考えたりする場として立ち上げました。

情報収集のための2つのタッチポイント

技術について情報収集するための主なタッチポイントは、Xと、イベントを含むコミュニティの2つです。

Xでは主にタイムラインから情報を得ているのですが、そこで意識しているのは面白そうな情報を見つけた際にはまず一次情報を確認することです。一次情報であるソースコードや論文を確認して情報を精査し、正しい情報を得ることはエンジニアとしてもすごく重要だと思います。

コミュニティについては、Iwaken Lab.やイベント、オンラインのコミュニケーションツールであるDiscordなどで情報を得たり交換したりしています。

そうしたXやDiscordなどでの情報収集は暇さえあればしていますね。もはや中毒みたいになっていて、朝起きた後から寝る直前まで時間がある時には見ています。

最新の情報をつかむ秘訣

情報をいち早く得るために大切にしているのは、「情報の流れてくる場所にいること」です。情報を自ら取りに行くことももちろん大切ですが、情報が自然と集まってくる人になることが理想的だと考えています。そのため、情報が集まるポジションに身を置いておくにはどうしたら良いかは常日頃考えていますね。

Xを積極的に動かしているのも、そうあるための方法の一つです。しかし、ただタイムラインを見ているだけではなく、自ら発信するようにしています。情報を得たいならまず自分から有益な情報を発信して貢献する。そうすることで信頼にも繋がり、情報を得やすくなると考えています。

今年、「Microsoft MVP for Mixed Reality」を再受賞したのですが、それもMicrosoftの製品に関してブログ記事やSNSによる発信をしていたからでした。

これにより、Microsoft MVPの受賞者コミュニティに入り、私が知らない分野の最先端の情報を共有してもらう機会にも恵まれました。このように、自ら貢献することが得られる情報の広がりにもつながるので、貢献はすごく大事にしています。

また、イベントに参加したり、主催する側に回ることも積極的にしていますね。企業の方や経営者とお話しすることで、ネット上に出ていない一次情報を得られることがあります。また、主催する側だとキーパーソンと話しやすいこともあるので、むしろ「イベント協力させてください」くらいの姿勢でいます。

情報をいち早く得ることの重要性

社内で中堅に近い立ち位置で、XRのエンジニアとして今伸びている業界に関わる中で、「最速でアウトプットする」ことが若手で活躍するための武器になると感じています。

例えば、新しいデバイスや技術の情報をいち早く仕入れて、ブログ記事を書いたり、最速でプロトタイプを作ったり…。情報を得てすぐに作れるのはエンジニアの強みですし、それによって市場価値を上げることもできると思います。

それがゆくゆくは会社や世の中に貢献していくことにもなるので、情報をいち早く仕入れることはエンジニアとして意義のあることだと思います。

重宝されるエンジニアに必要なもう一つの力

これから重宝されるエンジニアになるためには、日々情報を集めたり、実際に手を動かしたりして技術を深めることも大事だと思います。それともう一つ、私が大切にしているのはビジネスやいろいろな職業のバックグラウンドを知ることです。

事業のゴールは技術を使うことではなく、その先にある顧客の利益や会社への貢献です。そのためには、技術者目線で自ら提案することがすごく大事で、それをするためには事業に関わるいろいろな人の視点に立って考えることが必要になります。

例えば、自分がエンジニアで「現場にエンジニアを増やしたい」と考えているとします。その時、PL(損益計算書)について知っていれば、事業主導者が人員を調整する際に考えなければならない財務面のことなどを想定して、どのタイミングで提案したら増やせる可能性を高められるかを考えてコミュニケーションを取れるかもしれません。

ほかにも、「デザイナーは最高のアウトプットを出したい。そのための制限条件を共有する必要がある」ということが分かっていれば、、例えば「fbx形式でデータサイズ10MB以下」など制限条件データ形式や制限条件を決め、それを共有してからコミュニケーションを取ることでより円滑に仕事を進めることもできるでしょう。

このように、いろいろな方のバックグラウンドや価値観を知っておくことで、コミュニケーションを変えることができたり、自分が持っていきたい状況にしやすくなったりもします。

事業には社内外含めていろいろな人が関わるので、「僕は技術だけやるんです」といった態度ではなく、全体で前に進むためのコミュニケーションを取ることが大切だと思います。