インタビュー

情報は力—けいすけさんが語る先端業界での情報収集とアウトプット術

本記事では、ブロックチェーンやNFTの技術界隈でプログラマーをしているけいすけさんにお話を伺いました。AIやブロックチェーンなどの新しい技術は、世界中で日々研究が進み、毎日情報がアップデートされています。そのような情報の流れの速い業界においてどのように情報を集めるのか、集めるうえでどんなことを意識していたらよいのか。実際にプログラマーとしても発信者としても業界に関わるけいすけさんの情報収集術に迫ります。

けいすけさん
X:https://twitter.com/kei31

けいすけさんが語るNFTの魅力とは?

現在はメインの仕事として、ブロックチェーンやNFTの界隈でプログラマーをしています。この界隈は立ち上がってからまだそんなに長くないので、身を置くようになったのも2022年の1月くらいからですね。そこからいろいろなNFTのプロジェクトの立ち上げなどをしてきて、「Live Like A Cat」というNFTの中では結構大きなプロジェクトの担当をさせてもらったこともあります。

NFTは、たくさんのビジネスチャンスやワクワクするようなことを秘めていると思っています。電子データはいくらでもコピーできるのですが、NFTは電子データでありながらコピーができません。つまり、そのNFTが世の中にただ1つであることを証明できるんです。

これは、物質的なものだったら普通にあることだと思います。例えば、大切な人からプレゼントで貰ったペンがあるとしましょう。これと全く同じものを同じお店で買ってきたとき、果たしてその2つが自分にとって同じものであると言えるでしょうか。そこに思い入れがあるかどうか、という点で全く違うものなのではないでしょうか。

こうした区別は、リアルに存在する物質的なものだったらできるのですが、デジタル上ではこれまで出来なかったのです。それを可能にするのが、NFTの仕組みです。そうなると、人間の感情みたいなものがNFTに入っていくんですよね。つまりNFTによって、今まで物質上の世界では普通にできていて、デジタルではできなかったことが、同じ土俵に上がることになります。そういう意味で、NFTの可能性にはワクワクするものを感じているんです。

いまは情報がほぼすべて

AIやブロックチェーンの情報は圧倒的にXが早いので、日ごろチェックしています。最近のXのアルゴリズムは、興味がありそうなものを勝手にタイムラインに流してくれるので、放っておいてもそういった情報が入ってくるような仕組みにはなっています。

ただ、やはり最近は本当なのかどうか怪しいような情報もたくさん出回っているので、気になるものについては、それが本当かどうかを必ず調べるようにしています。一方で、今は情報が多すぎて限界もあるので、適度なところで止めるようにもしています。

もう一つ、Xで情報を集めるにあたって意識しているのが発信者が誰かということです。「この人が言っているから信憑性が高そうだ」と思える人が何となく決まっているので、そうしたことも気にしながら見ていますね。普段よく見ているのは、shi3z(@shi3z)さん、布留川英一(@npaka123)さん、元木大介(@ai_syacho)さんです。

いまは情報がほぼ全てです。むしろ情報を取らずに何を取るのか、というくらいです。

特にAI界隈は、1か月情報収集をしないと本当についていけなくなって、0からのスタートになってしまいます。それだけ情報の速い界隈なんです。ただ、逆に言うと1ヶ月情報収集すれば食い込めるようなところでもあります。そういう意味で、日々情報を取りに行くことはとても重要だと思っています。

アウトプットが情報を集める

情報をアウトプットすることも心がけています。アウトプットをしていると、不思議とその人に情報が集まってくるんです。ただタイムラインを眺めてインプットをするよりも、インプットをたくさんできなかったとしても、その中でアウトプットを少しでもしていった方がトータルとしては情報が集まってくるんですよね。なので、集めることよりもむしろアウトプットの方を意識しています。

Xもその手段の一つですし、他にもYouTubeで界隈の最近の流れを動画にするなどもしています。ただ、手段は数が多くても大変なので、その2つをメインに利用していますね。

そして、そうしたアウトプットの方法はできるだけハードルを下げるようにしています。最近で言うと、「stand.fm (スタンドエフエム) 」のような音声プラットフォームなどで喋るとかでもすごくいいと思うんです。YouTubeの動画を編集してアップするってすごく大変じゃないですか。喋るだけなら収録のコストが低いですし、話したり伝えたりするトレーニングにもなります。

発信するまでが大変だと、発信のハードルが上がってしまって続けられないので、手間をかけないような発信方法によって継続していけるようにしています。

成長を続け、AI時代で活躍できるエンジニアになるには

私自身、技術者として成長を続けるために、面白いものにはなるべく飛びつくようにしています。NFTに入ってきたのもそういう考えからでした。それが必ずしも成長につながるかどうかは分からないですが、面白いものの先にはきっと何かあるだろうと思っています。そういう考えを基準に、自分のやることや仕事を選ぶようにしていますね。

最近、AIが出てきてから暮らしはもちろん、そこに携わるエンジニアに求められることも変わってきていると思います。私は「そのうち技術はいらなくなるのではないか」と思っているんです。というのも、「なくていい」という意味ではなく、「できるのが当然」という世界になったり、すごく優秀なプログラマーが1人がAIを駆使して1万人分の仕事をこなしたりする世界がきたりしてもおかしくないと思っているんです。

その中で「エンジニアの価値って何だろう?」って考えてみると、その人自身の持つ親しみやすさや面白さ、もしくは「スキルは普通だけど一緒にいると楽しいよね」と相手に思ってもらえるかなどだと思っています。

エンジニアという仕事は基本的にアウトプットで評価されます。例えば、できたプログラムがすごく高速に動くとか、いろいろな機能があるものを仕様通りにちゃんと作れるとか。でも、そういうアウトプットで評価しようとすると、きっとAIには勝てません。

なので、アウトプット以外のところで評価されるような何かを探していかなければならないんです。きっとこれはどのエンジニアもまだ答えが出ていないところなので、あらゆるエンジニアがこれからいろいろ探しながらやっていくんだろうと思いますね。