インタビュー

文系、未経験から”プログラミングをしないSE”へ|「文系SE、まだ生きている」運営やうたさん

本記事では、ブログ「文系SE、まだ生きてる。」で、文系SE視点のコラム等を執筆しているやうたさんにお話を伺いました。文系、未経験からSEになった理由や会社のこと、SEとして働くことの面白さや大変さなどについて教えていただきました。

どんなSEの仕事をしているのか

大学の経営学部を卒業し、未経験かつ文系でユーザー系子会社※1のSEとして就職して7年になります。インフラ系の部署に所属しており、ネットワーク機器の運用保守やセキュリティアプリケーションの運用保守を行っています。

業務の具体的な内容としては、ベンダー(販売元)さんが作ってくれる設計書やテスト仕様書、手順書等の内容や結果のレビューや修正、システム導入に際してのユーザ教育等業務などです。こうした業務はプロジェクトとしてシステム開発をする時に行っているのですが、それ以外の時にはシステムの運用をしていて、定例的な作業や異常の是正、業務の効率化などをしています。簡単なマクロやバッチを触ることはありますが、プログラムを書くことはありません。

※1:大手企業の情報システム部門が分社化して設立した会社のこと

プログラミングをしないエンジニアになる

SEという仕事を選んだのは、”営業ノルマ”という概念に押しつぶされたくなかったのと、パソコンを触ることが好きだったからです。好きと言ってもインターネットで調べ物をしたり動画を見たりする程度ですが、大学生の頃はゼミの資料を集約をするページを自分で作るなどしていて、誰でもできるようなこと、かつITでより便利になるようなことをするのが好きでした。

就活を始めてIT企業の種類やそれぞれの違いなどを調べる中で、IT業界であればユーザ系子会社で勤務したいと考えるようになりました。というのも、ユーザー系子会社であれば、どちらかというと上流工程に関わるため、プログラミングをすることがあまりないからです。
パソコンを使っての仕事はしたいけれど、技術に明るいわけでも、得意なわけでもないために、プログラミングはできないのではないかと考えていた私に合うと思いました。また、転勤をしたくなかったので、その可能性が限りなく低いということもあり、ユーザー系子会社に決めました。実際に入ってみて、自分のイメージとズレはないと感じています。

ユーザー系子会社の特徴

ユーザー系子会社は、先述したように業務が上流工程寄りであることや、転職がほぼないところが多いのも特徴ですが、他にも”いろいろな背景を持った人がいる”ということも特徴の一つだと思っています。

いろいろな人がいた方が多様な意見が出るということもあり、経験がない人でもきちんと受け皿があります。例えば私のように文系や未経験の人もいれば、ITのことやプログラムをがっつり勉強してきた人もいますし、逆にIT自体にあまり興味が強くないような人もいて、部署によってはITの知識が必要のない事務作業をしているところもあります。また、そのようなさまざま背景を持つ人が集まっても、研修やOJTなどでうまく業務になじめるような会社の仕組みが整っていると思います。

私が会社に入って最初の研修では、外部の教育専門による基礎知識の研修を3ヶ月ほどみっちり受けました。内容はITパスポートや基本情報技術者レベルの知識で、インフラ、アプリ関係なくパソコンの歴史などの知識から幅広く学びました。あとはMicrosoft OfficeのPowerPointやExcel、Wordの使い方も教えてもらいました。
その研修を終えた後は仕事をしながら知識をさらに覚えていくようなスタイルで学んできました。

実際にエンジニアになって感じること

全てのことが初めてだった中でも特に専門用語が難しく、最初の3年ほどは苦労しました。IT系だけでなく他の仕事もそうだと思いますが、用語を覚えたり、話していることを理解できるようになるまでが大変です。用語を覚える際は、業務をやりながら覚えるという方法しかありませんでしたが、「どの会社もそうだろう」と思いながら仕事をしていました。

7年目になった現在は、”ユーザーの求める品質”と”ベンダーの成果物”に温度差があった際に間を取り持って、時に厳しく、時に諭しながらプロジェクトを遂行していかなければならないことが大変だと感じています。これはユーザー系子会社という立ち位置ならではかもしれません。

でも、そうした時などに自分の知識で問題解決できることはエンジニアとしての醍醐味だと思います。例えば、ユーザーからの要望に応えたり、障害から復旧したりする時などです。自分の知識が直結するからこそ、問題を解決したときに充実感があります。

また、業務のコントロールができることもSEならではの面白さだと思います。デジタル技術を使うことで、無駄だと思える作業を自動化したり、簡素化したりすることができるのです。業務をコントロールできることに加えて、自分で作成したツールが上手く動くと素直に「楽しい」と思えます。

また、実際にSEになって感じるのが、SEになるためには学生時代やそれまでの経験より、入社して仕事を始めてからの経験の方が、人に求められるかどうかに関しては重要なのではないかということです。
実際の現場では、入社前にプログラミングやITについて学んでいるかどうかではなく、入社後に業務を通して学んだことの方が活きると思います。

文系、未経験からエンジニアを目指す方へ

IT業界は目まぐるしいスピードで変化している業界です。そのため、日々、最新の情報をキャッチしていく必要があります。しかし、裏を返すと、先輩エンジニアも同じタイミングでしか最新情報をキャッチできません。その結果、先輩方とギャップを感じにくく、肩を並べやすい業界だと思います。「ITについては明るくないから…」と考えず、「誰だって、はじめの一歩は同じ!」ということを頭の片隅に入れておいてください。