ここ10年ほどのAI技術の進歩により、自動文章生成や機械翻訳といったサービスが急速に発展し、さまざまな業界やビジネスにおいて、大幅な業務効率化の効果をもたらすことが期待されています。
例えば、Webサイトのコンテンツや商品説明文の自動生成、多言語対応の翻訳などがその代表例です。
しかし現時点では、自動文章生成や機械翻訳の技術は、完全な正確さを求められる場面においては限界があります。
そのため、適切な使い方を知り、効果的に活用することが重要です。
本記事では、自動文章生成や機械翻訳に関する主なサービスの特徴や、それぞれの適する用途などを紹介していきます。
自動文章生成・機械翻訳サービスに興味がある方は、ぜひ参考にしてみてください。
文章生成AI
現時点でリリースされている文章生成系のジェネレーティブAIサービスは多岐にわたります。以下に、代表的なものを5つ挙げます。
文章生成や翻訳、要約、質問応答などのタスクに活用できる|ChatGPT
「ChatGPT」は、人工知能の研究機関「OpenAI」が開発した大規模な自然言語処理モデルで、自然言語生成において驚異的な精度を発揮しており、文章生成や翻訳、要約、質問応答などのタスクに活用できます。
提供企業・団体 | 人工知能の研究機関「OpenAI」 |
利用料金 | ・無料プラン
・有料プラン(月額20ドル) …アクセスの多い時間帯でも高速で利用でき、最新機能(GPT-4)を利用できる |
対応言語 | 日本語、英語ほか多言語対応 |
得意なこと | ・文章の生成
・自動翻訳 ・要約 ・QA(質問応答) |
苦手なこと | 特定のタスクに特化したモデルではないため、高度な専門知識や複雑な推論を必要とするタスクにおいては、精度が劣る場合もある |
URL | https://chat.openai.com/auth/login |
商品コピーやブログ、SNS投稿などの文章生成に|Copy.ai
「Copy.ai」は、マーケティング、広告、ブログ、SNS投稿などのために、人工知能によって文章を生成することができるプラットフォームです。
提供企業・団体 | アメリカの企業「Copy.ai」 |
利用料金 | ・無料プラン
・有料プラン(月額36ドル) …複数ユーザーが利用可、30以上の言語に対応、ブログ生成ツールや新機能へのアクセスも可能 |
対応言語 | 英語を中心に29以上の言語に対応 |
得意なこと | ・広告のキャッチコピー
・ブログ記事 ・商品説明文 ・メールのテンプレート など、さまざまな種類の文章を自動生成できる |
苦手なこと | 専門分野に特化した知識や文脈を理解することが苦手 |
URL | https://www.copy.ai/ |
要約、リライトが得意|
「ShortlyAI」は、インプットされた情報をもとに、文章を自動生成するサービスです。ユーザーが入力した文章をもとに、要約、リライト、キャッチコピー、ブログ記事、商品説明文などを自動生成します。
提供企業・団体 | アメリカのAIベンチャー企業「ShortlyAI」 |
利用料金 | ・年間プラン 月65ドル、2ヶ月無料
・月額プラン 月79ドル |
対応言語 | 英語を中心に複数の言語に対応 |
得意なこと | ・ユーザーが入力した文章の要約
・要点を抜き出した文章の自動生成 ・入力された文章のスタイルやトーンを保持しながら、より魅力的で読みやすい文章を自動生成することも可能 |
苦手なこと | 高度で専門的な文章の生成 |
URL | https://www.shortlyai.com/ |
SEOに最適化されたブログ記事を自動生成|AI Writer
「AI Writer」は人工知能によってWebコンテンツを自動生成するサービスです。ユーザーが入力したキーワードやトピックをもとに、ブログ記事、商品説明文、ニュース記事などを自動生成することができます。
提供企業・団体 | アラブ首長国連邦に拠点を置く企業 |
利用料金 | ・Free: 月あたり1000文字まで無料で利用可能。
・Pro: 月額19ドルで無制限の文章生成が可能。プランに応じてより多くの言語選択や、より多くの機能が利用可能。 ・Business: 月額49ドルでProプランの機能に加え、APIアクセスや最新機能などが利用できる。 ・Enterprise: 企業向けカスタムプラン。価格は要問い合わせ。 すべてのプランで7日間の無料トライアルあり。 |
対応言語 | 英語を中心に複数の言語に対応 |
得意なこと | ・SEOに最適化されたブログ記事
・商品説明文 ・ニュース記事 など、様々な種類の文章の自動生成 ・ユーザーが設定した文章のスタイルやトーンを保持しながら、より魅力的で読みやすい文章を自動生成することも可能 |
苦手なこと | 高度で専門的な文章の生成 |
URL | https://ai-writer.com/ |
マーケティング、ビジネス向けの文章自動生成が得意|CopySmith
「CopySmith」は、マーケティング、広告、ブログ、SNS投稿などのために、人工知能によって文章を生成することができるプラットフォームです。キャッチコピー、ブログ記事、プレスリリース、製品説明文、メールなどを生成することができます。
提供企業・団体 | アメリカの企業「Copysmith」 |
利用料金 | ・Starter
月額19ドルで、月に50個のコンテンツ生成 ・Professional 月額99ドルで、月に200個のコンテンツ生成 ・Enterprise 月額499ドルで、月に1000個のコンテンツ生成 ※各プランで利用できる機能や、1か月の間に使用できるAPIの回数などが異なります。 |
対応言語 | 英語のみ(※2023年4月9日時点) |
得意なこと | ・大量の広告キャッチコピーの自動生成
・ビジネスプレゼンテーションのスピーチやプレゼン資料 ・レポートなどの文章の作成 |
苦手なこと | 高度で専門的な文章の生成 |
URL | https://copysmith.ai/ |
機械翻訳AI
機械翻訳に関するジェネレーティブAIサービスも多数存在しています。以下にいくつかのサービスの例と特徴を挙げます。
無料で利用できる|Google翻訳
出典:https://translate.google.com/?hl=ja
「Google翻訳」は、Googleが提供する機械翻訳サービスです。Googleの機械学習技術を用いて、80以上の言語間で翻訳を行うことができます。Webサイトやスマートフォンアプリとして提供されており、テキスト、音声、画像の翻訳に対応しています。
提供企業・団体 | |
利用料金 | 無料 |
対応言語 | 日本語、英語ほか100以上の言語に対応
主要な言語については、音声合成にも対応。 |
得意なこと | ・旅行・ビジネスの場での簡単な会話や文章の翻訳
・海外のニュースやWebサイトの翻訳 |
苦手なこと | ・精度が完璧でない場合がある。重要な文書の翻訳など、高い精度が求められる場合にはプロの翻訳者に依頼することが望ましい |
URL | https://translate.google.com/?hl=ja |
翻訳文の品質が高い|DeepL
出典:https://www.deepl.com/ja/translator
「DeepL」は、ドイツの「DeepL GmbH」が提供する機械翻訳サービスで、14の言語間で高品質な翻訳を提供しています。Webサイトやスマートフォンアプリとして提供されており、翻訳文の品質が高いことで知られています。
提供企業・団体 | ドイツのAI関連企業「DeepL GmbH」 |
利用料金 | ・無料版
・有料版 (月額20ユーロから。複数人で利用でき、24時間サポートつきなど、利用できる機能・サービスが豊富) |
対応言語 | 日本語を含む14の言語に対応 |
得意なこと | ・ビジネス(専門的な文書や契約書)や学術分野などでの正確な翻訳
…翻訳結果の品質を向上させるために、機械翻訳だけでなく、人間の翻訳家が対応している場合もある。翻訳された文章の編集や校正機能も提供されており、より正確な翻訳を求める場合に有用。 |
苦手なこと | 機械翻訳なので、人による翻訳と比較すれば精度に限界はある。
(文脈の理解など) |
URL | https://www.deepl.com/ja/translator |
音声翻訳や画像翻訳にも対応|Microsoft Translator
出典:https://www.microsoft.com/ja-jp/translator/
「Microsoft Translator」は、Microsoftが提供する機械翻訳サービスで、100以上の言語間で翻訳を行うことができます。Webサイトやスマートフォンアプリとして提供されており、テキスト、音声、画像の翻訳に対応しています。
提供企業・団体 | Microsoft |
利用料金 | ・無料
・商用利用や、APIを利用する場合は有料 |
対応言語 | 日本語、英語を含む100以上の言語 |
得意なこと | ビジネスや旅行における
・音声翻訳 ・OCR(光学式文字認識)対応 |
苦手なこと | ・言語ペアによっては翻訳の精度が低いことがある
(翻訳されたテキストが不自然であったり、文法的な間違いが多く含まれていたりすることもある) ・複雑な文章や技術的な専門用語の翻訳が苦手 ・一定数以上のリクエストがあるとAPI制限がかかる |
URL | https://www.microsoft.com/ja-jp/translator/ |
APIで機械翻訳機能を自社サービスに組み込むことも可能|Amazon Translate
出典:https://aws.amazon.com/jp/translate/
「Amazon Translate」は、Amazonが提供する機械翻訳サービスです。AWSクラウドを使用して、100以上の言語間で翻訳を行うことができます。ウェブサイトやAPIとして提供されており、高速でスケーラブルな翻訳を提供しています。
提供企業・団体 | Amazon Web Services (AWS) |
利用料金 | 翻訳するテキストの量によって異なる。
月間10万文字以下の場合、最初の12ヶ月間は無料。 それ以上の場合は、月額0.000015 USD/文字から料金が発生。 |
対応言語 | 日本語、英語を含む100以上の言語 |
得意なこと | ・ビジネス文書やWebサイト、マニュアル、カタログなどの翻訳
・APIのため、翻訳機能を自社サービスに組み込むことができる |
苦手なこと | ・翻訳の正確さは、入力された文書の長さや種類、および翻訳元と翻訳先の言語の組み合わせによって異なる。
・翻訳の精度を向上させるためには、高品質なトレーニングデータが必要。トレーニングデータが少ない場合は翻訳の品質が低下することがある。 ・専門用語や業界特有の言葉に対応することができない場合もある。 |
URL | https://aws.amazon.com/jp/translate/ |
現時点でジェネレーティブAIは日々のビジネスの現場にどう活かせるか?
本記事では、ジェネレーティブAI(文章自動生成)と、機械翻訳AIについていくつかのサービスを紹介しました。
文章自動生成サービスは、海外のサービスで現時点では日本語未対応のサービスも多く見られます。しかし、今後日本語対応となれば国内のマーケティング・EC業界などでのコピーやコンテンツ生成自動化などが進み、業務効率化・人手不足問題の解消が大いに期待できると言えそうです。
今後、「広告コピー自動生成」「ECサイトの商品説明自動生成」「ブログ記事生成」といった、特定のタスクに特化して、より専門的なデータベースを背景に備えたジェネレーティブAIが数多く出てくるとすれば、日々のビジネスの現場における特定のタスクを自動化し、その精度も向上させられる可能性があります。
現時点では、最新の大規模言語処理モデル「GPT-4」を実装した「ChatGPT Plus(有料版、月20ドル)を利用して、入力時にできる限り前提条件を細かく絞り込んで(「誰に」「何を」「どのように」伝えたいか、あるいは、ペルソナの設定など)入力することが、ビジネスの場面における最も現実的な活用法と言えるでしょう。
そして、機械翻訳AIは、多言語のコミュニケーションや、ビジネス文書やWebサイトの翻訳への活用が可能です。対応言語、得意なこと、苦手なことなど、それぞれのサービスによって違いがありますので、利用目的に合わせて、適切なサービスを選択することが重要です。