ここではプログラマーはどんな仕事をするのか、就業の際に求められる知識やスキル、就業方法について解説していきます。
プログラマーとは?
プログラマーとはシステムエンジニア(SE)が作成した設計に基づき、コンピューターが実行するプログラムを構築する仕事です。プログラム構築には、人間がコンピューターに指示するために開発された「プログラミング言語」と呼ばれる特殊な言語を使います。
プログラマーは以下にご紹介するプログラミングを担当します。ひと口にプログラムといってもさまざまな種類があり、開発対象が異なれば使用するプログラミング言語も変わるので、システムごとに専門のプログラマーが存在します。
- 大企業や金融機関などで使用する、情報運用システム(汎用系プログラマー)
- ショッピングサイトのカートシステムや問い合わせフォーム、新着情報(Web系プログラマー)
- 家電製品を制御(組込み系プログラマー)
- パソコン向けソフトウェア、スマートフォン向けアプリ(アプリケーションプログラマー
- ゲーム(ゲーム系プログラマー)
- 通信やオンラインを制御(通信系プログラマー)
プログラマーの仕事内容
それでは、プログラマーが具体的にどんな仕事をするのか、詳しく見ていきましょう。
プログラミング
プログラミングとは、コンピューターを動かすために、独自の言語(プログラミング言語)を使ってコンピューターへの指示を書いていく作業です。例えば、ショッピングサイトで買い物ができるのは、商品を追加もしくは削除するプログラム、精算できるプログラムなどが機能しているからです。
Webサイトやサービス、アプリケーション、ゲーム、家電製品に組み込まれた制御装置、ネットワークなど、開発するプログラムによって使用する言語が異なりますが、代表的なプログラミング言語は以下の通りです。
C言語、C#、Java、JavaScript、Perl、PHP、Swift、Python、Rubyなど |
データベースの構築・データベース操作の実装
データベースの構築やデータベース操作の実装も、プログラマーの仕事の一つです。データベースとは、電話帳や住所録、名簿などのように、ある条件に当てはまった情報を格納している場所です。データベースが実装されていることで、ショッピングサイトやSNS、ネットバンキングなどにデータベースが使われており、この機能によってシステム上にデータ保存や編集が可能です。
データベースの構築や操作の実装には、プログラミング言語以外にもAccessやSQL Server、MySQL、Oracleといったデータベースを操作する言語を使います。
プログラムのテスト
システム開発のフローの最後でプログラマーが担う仕事が、プログラムのテストです。プログラミング言語を使って作成したプログラムが実際にどのように作動するか、何度もテストを繰り返し、システム上に発生しているバグを見つける重要な工程です。プログラマーに就業したての頃は、テスト業務から担当するケースが多いです。
テストにはデータ処理能力などをチェックする性能(パフォーマンス)テスト、十分なセキュリティ対策が実装されているかをチェックするセキュリティテストなど、さまざまな種類があります。このうちプログラマーは主に単体テスト(出来上がったプログラムを個々に動作させて確認)と結合テスト(複数のプログラムを組み合わせて実施)、総合テスト(システムとしての動きをチェック)を担当します。
バージョン管理
バージョン管理とは、ソフトウェア開発やWebサイト制作の中で欠かせない工程です。GitHubなどのバージョン管理ツールを使い、プログラムの変更履歴(いつ、誰が、どのように)の記録と管理を行います。
バージョン管理の実施により、プログラムの最新の状態やソースコードの共有がしやすくなる他、プログラムのテストでバグが発生した場合、どの段階で起きたものなのかを遡り、過去の状態に戻すことも可能です。
プログラマーに必要なスキルや資格とは?
ここでは、プログラマーとして就業するにあたって、必要なスキルや資格をご紹介します。
情報処理技術者試験(基本情報技術者試験など)
情報処理技術者試験は、情報処理における唯一の国家資格です。1970年に制定された「情報処理の促進に関する法律」に基づき、独立行政法人情報処理推進機構(IPA)が実施し、経済産業省が認定しています。
全部で13の試験区分があり、このうちプログラマーとしておすすめなのは、次に挙げる試験です。
- 基本情報技術者試験:システムの設計・開発・運用やソフトウェアの設計・開発技術に関して、基本的な理解から実践的な活用能力を評価
- 応用情報技術者試験:基本情報技術者試験の上位に位置づけられており、高度なITスキルを持っていることを証明
- システムアーキテクト試験:ソフトウェアの設計・開発・テストなどを行い、情報システム開発技術を評価
C言語プログラミング能力認定試験・JavaTMプログラミング能力認定試験
C言語プログラミング能力認定試験とJavaプログラミング能力認定試験は、プログラマーがプログラムを構築するときによく使うプログラミング言語、C言語とJavaに関する能力認定試験です。サーティファイ情報処理能力認定委員会が主催・認定しています。
どちらも、プログラミング初心者を対象としたクラス(3級)から、システムエンジニアやプログラマーとして既に活躍している人向けのクラス(1級)まで、3段階の認定基準を設けています。なお、2・3級は筆記試験、1級は実技試験が行われます。
PHP技術者認定試験
PHP技術者認定試験は、C言語やJavaと同じくプログラミング言語であるPHPのスキルを証明する試験で、PHP技術者認定機構が実施しています。初級と上級の2種類があり、IT人材のスキルの基準として経済産業省が定めたガイドライン「ITスキル標準(ITSS)」にも登録されています。
情報検定(J検)
情報検定(J検)は、一般財団法人職業教育・キャリア教育財団検定試験センターが認定し、文部科学省が後援する、情報処理能力の検定試験です。情報検定(J検)は、証明したい能力に合わせて次の3種類の試験があり、プログラマーにおすすめなのは情報システム試験です。
- 情報システム試験:ソフトウェア開発の基盤となる情報の表現、ハードウェアや基本ソフトウェアに関する基礎的知識、プログラミングなど、情報処理技術能力を総合的に評価
- 情報活用試験:情報リテラシーやモラル、セキュリティといった情報利活用能力を総合的に評価する試験。1級~3級まである
- 情報デザイン試験:情報社会で働く人に必要とされる、「情報を受け取り、伝える」能力を総合的に評価する試験。初級と上級がある
情報セキュリティへの意識
システムエンジニア(SE)とは違い、クライアントに直接対面する機会は多くありませんが、クライアントから提供された情報を扱うため、ITリテラシーを有していること、情報セキュリティに対する高い意識が求められます。
プログラマーとして就業するには?
プログラマーとして入社するとき、学歴や資格は特に必要ありません。職種の性質上、経験者を採用する傾向にありますが、新卒あるいは未経験で他職種からの入職者でも、プログラミングの知識がある人材を一定期間教育した後に、プログラマーとして配属する企業もあります。このあたりはシステムエンジニア(SE)と同様です。また、プログラマーのインターンを積極的に採り入れる企業も増えてきました。
入社後、先輩プログラマーやシステムエンジニア(SE)から指導を受けながら、部分的なプログラミングを担当するなど、経験を積んでいきます。
参考サイト:
プログラマー(厚生労働省 職業情報提供サイト(日本版O-NET))
https://shigoto.mhlw.go.jp/User/Occupation/Detail/313